ホシザキ・2025年12月期通期、売上高9.1%増の4,858億円で過去最高——インド好調、米ショーケース大手買収で攻勢
売上高
4,859億円
+9.1%
通期予想
5,200億円
営業利益
519億円
+1.7%
通期予想
556億円
純利益
381億円
+3.3%
通期予想
382億円
営業利益率
10.7%
業務用厨房機器大手のホシザキが13日に発表した2025年12月期決算は、売上高が前年比 9.1%増 の 4,858億9,000万円 となり、過去最高を更新した。インド市場での急成長や国内の飲食外市場への販路拡大が寄与した一方、営業利益は米州でのシステム投資や欧州のインフレ対応が重荷となり、同 1.7%増 の 519億3,200万円 にとどまった。同社は機動的な株主還元として 300億円 の自社株買いと増配も発表し、成長投資と還元を両立させる積極的な資本政策を打ち出している。
業績のポイント
当期の連結業績は、世界的な外食需要の回復と戦略的な販路拡大が功を奏し、売上高 485,890百万円(前年比 +9.1%)と増収を確保した。利益面では、のれん等の償却費を除いた実力値を示す「調整後営業利益」が 61,094百万円(同 +5.5%)と底堅く推移したものの、会計上の営業利益は 51,932百万円(同 +1.7%)と微増にとどまった。これはトルコでの超インフレ会計の適用や、米州での買収関連費用が利益を押し下げたためである。
親会社株主に帰属する当期純利益は 38,148百万円(同 +3.3%)となった。前年に計上された段階取得に係る差損が消失したことがプラスに働いた。一方で、経常利益は為替差益の減少により 56,305百万円(同 -1.9%)と前年を下回った。全体として、海外の特殊要因に振り回されながらも、主力製品の拡販とコスト管理によって増益を維持した格好だ。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 445,495百万円 | 485,890百万円 | +9.1% |
| 営業利益 | 51,050百万円 | 51,932百万円 | +1.7% |
| 調整後営業利益 | 57,901百万円 | 61,094百万円 | +5.5% |
| 当期純利益 | 36,936百万円 | 38,148百万円 | +3.3% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
日本セグメントは、売上高 234,125百万円(前年比 +3.9%)、セグメント利益 30,404百万円(同 +5.8%)と堅調だった。飲食市場の深掘りに加え、人手不足を背景とした設備投資需要を的確に捉え、食器洗浄機等の高付加価値製品が伸びた。特に「飲食外市場」への拡販戦略が実を結び、加工販売業や流通業への浸透が進んでいる。
米州セグメントは、売上高 121,913百万円(前年比 +12.5%)と大幅増収を達成した。製氷機やディスペンサの販売が好調だったほか、2025年7月に買収した米ショーケース大手SCC社の業績が第4四半期から寄与した。しかし、利益面では新ERPシステムの導入費用や買収関連コスト、人件費の上昇が響き、利益は 11,006百万円(同 -2.6%)と減益を余儀なくされた。
欧州セグメントは最も苦戦し、利益は 1,461百万円(前年比 -54.6%)と半減した。トルコにおける超インフレ経済下でのコストアップに加え、競争激化が採算を悪化させた。一方でアジアセグメントは、インドを中心に冷蔵庫等の販売が急伸し、売上高 81,719百万円(同 +18.1%)、利益 14,430百万円(同 +25.0%)とグループの成長エンジンとしての存在感を示した。
| セグメント | 売上高 | 前年比 | 利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 226,739百万円 | +4.3% | 30,404百万円 | +5.8% |
| 米州 | 121,183百万円 | +12.5% | 11,006百万円 | -2.6% |
| 欧州 | 57,648百万円 | +8.7% | 1,461百万円 | -54.6% |
| アジア | 80,319百万円 | +19.4% | 14,430百万円 | +25.0% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 2,267億円 | 47% | 304億円 | 13.4% |
| 米州 | 1,212億円 | 25% | 110億円 | 9.1% |
| 欧州 | 576億円 | 12% | 15億円 | 2.5% |
| アジア | 803億円 | 17% | 144億円 | 18.0% |
財務状況と資本政策
期末の総資産は、買収に伴う「のれん」の増加(+573億円)などにより、前年末比 280億円 増の 5,756億4,600万円 となった。一方で、M&Aによる子会社取得支出が 642億円 に達したため、現金及び現金同等物の残高は 1,594億4,200万円 と、前年末から約 549億円 減少している。自己資本比率は 68.2% と高水準を維持しており、積極的な投資を支える強固な財務基盤を保持している。
資本政策においては、株主還元の強化が鮮明だ。当期の年間配当は前期から 10円増配 の 115円(中間50円・期末65円)とし、連結配当性向は 42.6% となった。さらに、2026年2月13日には、発行済株式数の 5.6% に相当する最大 800万株、総額 300億円 の大規模な自社株買いを発表した。これは、資本効率(ROE)の向上を強く意識した経営判断といえる。
戦略トピック:米SCC社の買収とシナジー
2025年7月、ホシザキは米国の食品ショーケースメーカーである Structural Concepts Corporation(SCC) を約 560億円 で買収した。SCC社はスーパーマーケットやカフェ向けに高品質な陳列用ショーケースを展開しており、米国内で強力な顧客基盤を持つ。この買収により、ホシザキは製氷機・冷蔵庫以外の製品ラインナップを大幅に拡充し、北米市場でのセット販売やサービス網の共有といったシナジーを狙う。
これまでホシザキの海外展開は製氷機が主軸であったが、今回の買収は「フードサービス機器の総合メーカー」として、海外でも日本と同様の多角的展開を目指す戦略の現れである。短期的には買収費用やのれん償却が利益を圧迫するが、中長期的には米州事業の収益構造を多層化する重要な布石となる。
通期見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高 5,200億円(前期比 +7.0%)、営業利益 556億円(同 +7.1%)を見込む。国内での安定成長に加え、買収したSCC社の通期寄与や、引き続き好調なインド・アジア市場が全体を牽引する計画だ。想定為替レートは1米ドル= 150円、1ユーロ= 170円 と設定している。
| 項目 | 2025年12月期実績 | 2026年12月期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 485,890百万円 | 520,000百万円 | +7.0% |
| 営業利益 | 51,932百万円 | 55,600百万円 | +7.1% |
| 純利益 | 38,148百万円 | 38,200百万円 | +0.1% |
リスクと課題
同社が直面する主なリスクは以下の通りである。第一に、為替変動リスクだ。海外売上高比率が高まっており、急速な円高は業績の押し下げ要因となる。第二に、原材料価格および物流費の高騰である。特に欧米でのインフレが継続した場合、価格転嫁が追いつかないリスクがある。第三に、M&Aの統合リスク(PMI)だ。SCC社をはじめとする買収企業のシナジー創出が計画通りに進まない場合、減損リスクや管理コスト増に繋がる可能性がある。また、中東やウクライナを巡る地政学リスクの長期化によるサプライチェーンへの影響も注視が必要としている。
ホシザキの決算は、攻めの姿勢が非常に明確になった内容だと評価できます。
- 強み: 国内の盤石な収益基盤を維持しつつ、アジア(特にインド)が新たな成長の柱として確立されつつあります。また、米SCC社の買収により、海外での製品ポートフォリオが広がったことは戦略的に大きな前進です。
- 懸念点: 欧州事業の収益性低下が顕著です。トルコのインフレ会計といった特殊要因があるとはいえ、米州も含め、海外拠点でのコストコントロールと価格転嫁が今後の利益成長の鍵を握ります。
- 注目ポイント: 300億円という大規模な自社株買いと増配のセットは、これまでの「キャッシュを溜め込む」イメージを払拭し、資本効率を重視する市場対話への転換を感じさせます。就活生にとっても、グローバル展開と先進的な経営判断を併せ持つ企業としての魅力が高まっていると言えるでしょう。
