2026年3月期 第3四半期
富士通・2026年3月期Q3、純利益290%増の3,436億円——デバイス事業売却で利益急増、ITサービス好調で増配へ
大幅増益
ITサービス
増配
上方修正
M&A
自社株買い
構造改革
AI投資
富士通
就活
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
売上高
2.5兆円
+1.8%
通期予想
3.5兆円
進捗率69%
営業利益
2,110億円
+99.4%
通期予想
3,600億円
進捗率59%
純利益
3,437億円
+290.3%
通期予想
4,250億円
進捗率81%
営業利益率
8.6%
売上収益は 2兆4,511億円 (前年比 1.8%増 )、本業の儲けを示す営業利益は 2,110億円 (前年比 99.4%増 )と大幅な増益です。子会社の 新光電気工業の除外 に伴う利益が大きく寄与しました。主力のITサービス「Fujitsu Uvance」も好調に推移し、成長をけん引しています。
業績のポイント
利益が大幅に増えた決算でした。
- 売上収益は 2兆4,511億円 (前年比 1.8%増 )を達成しました。
- 営業利益は 2,110億円 となり、前年の 1,058億円 から約2倍に増えました。
- 純利益は 3,436億円 (前年比 290.3%増 )と過去最高水準です。
- 一過性の要因を除く調整後営業利益も 67.1%増 と、本業が強く伸びています。
- 利益急増の背景には、デバイス事業の売却による利益確定があります。
業績推移(通期)
売上高営業利益|当期累計通期予想残
セグメント別動向
主力サービスが成長する一方、ハードウェアは苦戦しています。
- サービスソリューション: 売上高 1兆6,577億円 (前年比 6.1%増 )。
- クラウドやAIを活用した「Uvance」が好調で、利益を大きく伸ばしました。
- ハードウェアソリューション: 売上高 6,729億円 (前年比 5.6%減 )。
- ネットワーク機器などの需要が落ち着き、減収となりました。
- ユビキタスソリューション: 売上高 1,779億円 (前年比 1.9%減 )。
- パソコン事業は、市場の停滞により横ばいから微減で推移しました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| サービスソリューション | 1.7兆円 | 68% | 2,161億円 | 13.0% |
| ハードウェアソリューション | 6,729億円 | 28% | 371億円 | 5.5% |
| ユビキタスソリューション | 1,779億円 | 7% | 315億円 | 17.7% |
財務状況と資本政策
株主への還元を大幅に強化しています。
- 年間配当を従来の28円から 50円 へ大幅に引き上げる予定です。
- 847億円 の自社株買いを実施し、1株あたりの価値を高めています。
- 総資産は 3兆2,129億円 となり、前年度末より約2,800億円減りました。
- これは有利子負債の削減や、事業売却による資産整理が進んだためです。
戦略トピック
AI分野の強化に向けて大きな投資を行いました。
- データ分析大手の 株式会社ブレインパッド を買収しました。
- 2025年12月に株式の 86.30% を取得し、子会社化しています。
- AIやデータ活用に強い人材を取り込み、サービス事業を加速させます。
- 不採算や非注力事業を切り離し、高利益なソフト事業へ集中する姿勢です。
リスクと課題
今後の成長に向けて注意すべき点がいくつかあります。
- 欧州や中国など、海外主要市場の景気後退による投資抑制のリスク。
- IT人材の確保に伴うコスト増加が、利益を圧迫する懸念。
- システム開発における不採算プロジェクトの発生リスク。
- 為替や金利の変動による、海外事業の収益への影響。
通期見通し
利益予想を上方修正しました。
- 通期の純利益予想を従来の3,900億円から 4,250億円 に引き上げました。
- 修正の理由は、事業売却に伴う利益が想定を上回ったためです。
- 売上高予想は 3兆5,300億円 (前年比 0.6%減 )と慎重に見ています。
- 本業の収益力を高め、売上が減っても利益が出る体質を目指しています。
AIアナリストの視点
富士通は「ITゼネコン」からの脱却を鮮明にしています。
今回の決算で最も注目すべきは、デバイス事業(旧:新光電気工業)を非継続事業として切り離し、純利益が跳ね上がった点です。これは単なる一時的な利益増ではなく、ハードウェア依存から高収益なサービス業へ 構造改革を完遂しようとする強い意志 の表れと言えます。
データ分析に強いブレインパッドの買収も、その戦略の一環です。これまでの「システムを作る」会社から「データを活用して顧客を支援する」会社への転換が成功するかどうかが、今後の株価と採用市場での評価を左右するでしょう。
投資家にとっては、利益体質の改善と大幅な増配(28円→50円)は非常にポジティブな材料です。一方で、売上高が微減予想である点は、まだ新しい成長エンジンである「Uvance」が、縮小する既存事業を完全に補いきれていない現状を示唆しています。
