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大手SIer・ITサービス
2026年3月期 第3四半期
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大手SIer・ITサービス4社 2026年3月期 第3四半期決算——DX需要で全社増益、利益率20%迫るNRIと構造改革の富士通・NECが躍進

大手SIer
ITサービス
2026年3月期
日立製作所
富士通
NEC
野村総合研究所
DX
クラウド
構造改革
決算比較

今期の総括

構造改革完了で「稼ぐ力」が劇的向上

ITサービス大手4社のQ3決算は、全社が大幅な増益を記録する「絶好調」の内容となりました。企業のDX投資が加速し、従来の「ハード売り」から「高単価サービス」への転換が鮮明です。特に富士通NECは利益が倍増し、長年の構造改革が実を結びました。一方、日立製作所は売上・利益ともに圧倒的な規模で他を圧倒しています。

業界全体の動き:DX需要の爆発と「サービス化」

この期間、業界を動かした共通テーマは以下の3点です。

  • 企業のDX投資が衰えず、クラウド移行やAI活用が加速しました。
  • ハードウェア販売から高利益なソフト・サービスへ転換が進みました。
  • 不採算事業の整理が完了し、本業の「稼ぐ力」が劇的に向上しました。

各社とも一過性の利益だけでなく、調整後営業利益も大きく伸びています。IT基盤の構築だけでなく、経営課題を解決する上流コンサルが利益を押し上げました。

営業利益ランキング

業界平均

全社が増益。特に富士通とNECは構造改革の効果で、利益が前年からほぼ倍増する驚異的な伸びを見せました。

売上高 前年同期比

業界平均

日立と野村総研が6%超の成長で需要を吸収。富士通は1.8%増に留まり、売上規模の拡大に課題を残す結果となりました。

純利益 前年同期比

業界平均

富士通の290.3%増が突出。事業売却の一時益もありますが、各社とも利益を出しやすい体質へ完全に生まれ変わっています。

勝者と敗者:日立の独走と、富士通の「成長の壁」

今回の「勝者」は、圧倒的な成長バランスを見せた日立製作所です。

  • 日立製作所: 売上高は7兆5,018億円(+7%)と巨大です。
  • 営業利益も8,257億円(+26.1%)と、規模と成長を両立しました。
  • 一方、苦戦が見えたのは富士通です。純利益は290.3%増と爆増しました。
  • しかし、売上成長率は1.8%と4社で最低。成長の勢いに課題を残しました。

日立はITとエネルギーの相乗効果で、独自の高収益モデルを確立しています。

日立

勝者

日立製作所

富士通

苦戦

富士通(売上成長率の観点)

売上高ランキング

業界平均

日立製作所が7.5兆円超えで圧倒的首位。2位・3位の富士通・NECに対し約3倍の規模を誇り、独走態勢に入っています。

注目の動き・戦略比較:コンサル回帰とグローバル展開

各社の戦略には明確な「個性の差」が出ています。

  • 野村総合研究所: 営業利益率は驚異の19.7%。コンサルとIT実装の融合が最強です。
  • 富士通: 買収したブレインパッド等の活用で、データ活用に軸足を移しています。
  • NEC: 利益率11.4%のITサービスを核に、ハード脱却を完全に果たしました。
  • 日立製作所: 送電網のパワーグリッド事業が、世界的な脱炭素需要で爆発しています。

単なるIT屋ではなく、「社会課題を解くパートナー」への進化が共通の狙いです。

営業利益率ランキング

業界平均

野村総研が19.7%と群を抜く高収益。日立も11%に乗せ、大手SIerとして理想的な収益性を確立しています。

業界共通のリスク:人材争奪とAIによる破壊

絶好調の裏で、全社が共通して抱えるリスクも無視できません。

  • IT人材の深刻な不足: 採用コストと人件費の高騰が利益を圧迫します。
  • 生成AIによるパラダイムシフト: 従来型の開発案件が減少するリスクがあります。
  • プロジェクトの巨大化: システム障害時の損害賠償リスクが拡大しています。
  • 海外景気の不透明感: 世界的な金利動向が、企業の投資意欲を冷やす懸念があります。

就活生・転職希望者へ:どの「船」に乗るべきか?

就活生・転職者にとって、今は「最高の売り手市場」です。

  • 日立: グローバルな舞台で、社会インフラを動かしたい人向きです。
  • NRI: 少数精鋭で、ビジネスの最上流から高年収を狙いたい人向きです。
  • 富士通・NEC: 構造改革を経て「第二の創業期」を経験したい人に最適です。

各社とも高収益体質に変わったことで、教育投資柔軟な働き方への投資も加速しています。