2026年3月期 第3四半期
エーザイ・2026年3月期Q3、売上高3.1%増の6,199億円——新薬『レケンビ』が2倍増、積極投資で営業益は微減
レケンビ
認知症治療薬
増収微減益
研究開発
積極投資
医薬品
M&A
配当維持
海外展開
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
売上高
6,200億円
+3.1%
通期予想
7,900億円
進捗率78%
営業利益
545億円
-1.7%
通期予想
545億円
進捗率100%
純利益
418億円
-8.1%
通期予想
415億円
進捗率101%
営業利益率
8.8%
アルツハイマー病治療剤「レケンビ」の売上が前年比2倍以上に急成長し、売上高は6,199億円となりました。一方で、レケンビの普及に向けた積極的な広告・宣伝費の投入が重なり、営業利益は前年同期をわずかに下回る544億円(前年比1.7%減)で着地しました。
業績のポイント
主力薬が絶好調で、売上の基盤が強固になっています。
- 売上収益は 6,199億円(前年比 3.1%増)で増収を確保しました。
- 営業利益は 544億円(同 1.7%減)と、投資先行でわずかに減少しました。
- 認知症治療剤「レケンビ」の売上が 618億円(同 109.2%増)と爆発的に伸びています。
- 前年にあった一時的な契約金収入がなくなった影響を、新薬の成長で補いました。
業績推移(通期)
売上高営業利益|当期累計通期予想残
セグメント別動向
世界各地の医薬品事業が、主力品の成長により概ね好調です。
- 日本医薬品: 売上 1,756億円(前年比 5.1%増)。レケンビの普及が進んでいます。
- アメリカス: 売上 2,230億円(同 6.6%増)。レケンビと不眠症薬が好調です。
- 中国: 売上 998億円(同 12.7%増)。がん治療剤やレケンビが伸びています。
- EMEA(欧州等): 売上 603億円(同 1.0%増)。主力のがん治療剤が底堅く推移しました。
- アジア等: 売上 514億円(同 15.7%増)。主要な全ての国で高い成長を見せました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本医薬品事業 | 1,756億円 | 28% | 585億円 | 33.3% |
| アメリカス医薬品事業 | 2,230億円 | 36% | 1,334億円 | 59.8% |
| 中国医薬品事業 | 998億円 | 16% | 474億円 | 47.5% |
財務状況と資本政策
将来の成長に向けた投資を続けつつ、安定した配当を維持しています。
- 総資産は 1兆4,862億円。レケンビ増産のための在庫や、円安の影響で増えました。
- 自己資本比率は 59.9% で、財務の健全性は高い水準を保っています。
- 年間配当は 160円(前期と同額)を予定しており、配当方針に変更はありません。
リスクと課題
新薬への依存度が高まる中、以下のリスクに注視が必要です。
- レケンビへの多額のマーケティング費用が、短期的には利益を圧迫しています。
- 各国の薬価改定(薬の値段の引き下げ)による収益への影響があります。
- 為替レートの変動により、円高が進んだ場合は海外利益が目減りします。
- 他社による類似薬の登場など、競争環境の変化が激しくなっています。
戦略トピック
「薬をつくる」だけでなく、認知症のケア全体を支える戦略を加速しています。
- 高齢者見守りサービスを行う「エコナビスタ社」を子会社化しました。
- 認知症プラットフォームを構築し、ITを活用した早期発見・予防に注力します。
- レケンビの点滴だけでなく、使いやすい皮下注製剤の承認申請も進めています。
AIアナリストの視点
エーザイの決算は、まさに「未来への先行投資期」といえる内容です。注目すべきは、期待の新薬「レケンビ」の売上が前年から2倍以上に拡大し、完全に成長軌道に乗った点です。
利益がわずかに減少しているのは、世界中でレケンビを普及させるための広告宣伝や、次世代の薬を作るための研究開発に資金を投じているためであり、ネガティブな減益ではありません。
また、単に薬を売るだけでなく、IT企業(エコナビスタ)を買収して「認知症エコシステム」を作ろうとする姿勢は、従来の製薬会社の枠を超えたユニークな戦略です。就活生の視点では、デジタルと医療を掛け合わせた新しいヘルスケアビジネスに触れられる興味深いフェーズにあるといえます。
