ディスコ・2026年3月期Q3、純利益8.7%増の926億円——生成AI向け装置が絶好調、通期予想も上方修正
売上高
3,038億円
+11.5%
通期予想
4,190億円
営業利益
1,262億円
+9.7%
通期予想
1,721億円
純利益
926億円
+8.7%
通期予想
1,264億円
営業利益率
41.5%
半導体製造装置大手のディスコが21日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)連結決算は、純利益が前年同期比 8.7%増 の 926億円 となった。生成AIの急速な普及に伴い、GPUや高帯域幅メモリ(HBM)など先端半導体向けの需要が拡大し、切断・研削装置の出荷が好調に推移した。同社は未定としていた通期業績予想も公表し、売上高は前期比 6.5%増 の 4,190億円 と過去最高の更新を見込む。

業績のポイント
当第3四半期累計の売上高は前年同期比 11.5%増 の 3,038億円 、営業利益は 9.7%増 の 1,262億円 と、増収増益を確保した。世界的な生成AIブームを背景に、データセンター向けの先端ロジック半導体やHBM(高帯域幅メモリ)の製造プロセスにおいて、同社の精密加工装置への引き合いが極めて強く推移している。
特に10-12月期(Q3単体)の出荷額は四半期として 過去最高 を記録しており、受注の勢いが業績に直結した形だ。研究開発体制の強化に伴う人件費や管理費の増加(前年比増)を、高付加価値製品の販売比率向上と為替の円安効果が十分に補った。営業利益率は 41.5% と、製造業として異例の高水準を維持しており、技術力の高さが収益性に結びついている。
業績推移(通期)
セグメント別動向
同社は精密加工関連の単一セグメントであるが、その内訳は「精密加工装置」と「精密加工ツール(消耗品)」の両輪で構成されている。装置部門では、チップを薄く削り出す「グラインダ」がHBMの積層化トレンドを追い風に急成長を遂げた。顧客である半導体メーカーの積極的な設備投資が継続しており、高価格帯の製品ラインアップが売上を押し上げている。
一方で、消耗品である精密加工ツールも、主要顧客の工場稼働率が高止まりしていることから、安定的に 高水準の出荷 が続いた。装置の納入が進むほど、後の消耗品需要が拡大する「ストック型ビジネスモデル」が強固に機能している。地域別でも、生成AI投資が活発な北米やアジア圏を中心に、先端プロセス向けの需要が全体を牽引した。
| 指標(9ヶ月累計) | 2025年3月期 Q3 | 2026年3月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 272,596百万円 | 303,828百万円 | +11.5% |
| 営業利益 | 115,098百万円 | 126,212百万円 | +9.7% |
| 営業利益率 | 42.2% | 41.5% | △0.7pt |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 精密加工関連事業 | 3,038億円 | 100% | 1,262億円 | 41.5% |
財務状況と資本政策
2025年12月末時点の総資産は、前期末比241億円増の 6,782億円 となった。主に好調な受注を背景とした現金及び預金( 2,461億円 )や、出荷待ちの棚卸資産が増加したことが要因である。負債側では未払法人税等の減少により、自己資本比率は前期末の75.1%から 79.8% へとさらに上昇し、盤石な財務体質を誇っている。
株主還元についても積極的な姿勢を見せており、好調な業績を反映して配当予想を修正した。期末配当を 308円 とし、第2四半期末の129円と合わせた年間配当は前期比24円増の 437円 となる見通しだ。潤沢なキャッシュフローを背景に、将来の成長に向けた研究開発投資と株主還元の両立を図る経営判断が示されている。
通期見通し
これまで「未定」としていた2026年3月期の通期連結業績予想を新たに公表した。通期の売上高は前期比 6.5%増 の 4,190億円 、営業利益は 3.2%増 の 1,721億円 となる見込みだ。1-3月期の想定為替レートを1ドル= 154円 と設定しており、足元の市況感に基づいた堅実な見通しとなっている。
| 項目 | 2025年3月期 実績 | 2026年3月期 予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 393,277百万円 | 419,000百万円 | +6.5% |
| 営業利益 | 166,734百万円 | 172,100百万円 | +3.2% |
| 純利益 | 123,942百万円 | 126,400百万円 | +2.0% |
同社は、先端半導体向けの設備投資は今後も継続すると見ており、通期の出荷額目標も 4,380億円 と強気な姿勢を崩していない。今後は、更なる高密度実装化が進む次世代チップ向けに、独自の加工技術を用いた新機種の投入や生産能力の拡張が焦点となる。
リスクと課題
今後の懸念材料として挙げられるのは、米中貿易摩擦に伴う輸出規制の強化や、為替相場の変動リスクである。特に同社は海外売上高比率が高いため、急激な円高は収益の押し下げ要因となる。また、生成AI関連の需要は極めて強いものの、半導体業界特有のシリコンサイクルの波は無視できず、投資過熱後の反動減に対する警戒も必要だ。競争環境においても、中国メーカーの追い上げなどが中長期的な課題として意識されている。
ディスコの決算は、まさに「生成AI相場の中心地」であることを裏付ける内容でした。特筆すべきは営業利益率40%超という圧倒的な収益性で、他社の追随を許さない独占的な技術力が源泉となっています。
注目ポイントは、10-12月期の出荷額が過去最高を更新した点です。これは将来の売上の先行指標であり、来期以降も高い成長が続くことを示唆しています。
一方で、4Qの為替前提(154円)は足元の実勢レートに近く、円高方向へ振れた場合の利益下押しリスクには注意が必要です。しかし、それを差し引いても「AI特需」の恩恵を最も享受している企業の一つであり、就活生にとっても投資家にとっても、日本を代表する高付加価値企業の好例と言えます。
