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株式会社ディスコ の会社詳細
株式会社ディスコ
ディスコ
2026年3月期 通期

ディスコ・2026年3月期通期、売上高・出荷額が6期連続で過去最高——生成AI・HBM向け需要が牽引、大幅増配へ

ディスコ
6146
生成AI
半導体製造装置
HBM
最高益
増配
高収益企業
就職活動
投資判断
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

4,369億円

+11.1%

通期予想

1,061億円

進捗率412%

営業利益

1,850億円

+10.9%

通期予想

420億円

進捗率440%

純利益

1,355億円

+9.4%

通期予想

295億円

進捗率459%

営業利益率

42.3%

半導体製造装置大手のディスコは、生成AI(人工知能)市場の急拡大を追い風に、2026年3月期の連結売上高が前期比 11.1%増4,368億8,900万円 となり、6期連続で過去最高を更新しました。データセンター向け投資の拡大により、先端ロジックやHBM(高帯域幅メモリ)向けの高付加価値な精密加工装置の出荷が極めて好調に推移しました。営業利益も同 10.9%増1,849億8,900万円 と増益を確保し、営業利益率42.3% という製造業として異例の高収益体質を維持しています。

トーク

ディスコ 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

当連結会計年度の業績は、世界的な生成AI需要の爆発的な増加が成長を強力に牽引しました。主力の精密加工装置の出荷は、データセンター向けの先端ICや、AI処理に不可欠なHBM関連で過去最高水準を記録しています。また、装置の稼働率に連動する消耗品(精密加工ツール)の出荷も高水準を維持しており、ストック型ビジネスとしての側面が利益の安定化に寄与しました。

利益面では、積極的な人材投資による人件費の増加や、次世代技術に向けた研究開発費の増大があったものの、増収効果と高付加価値製品の販売比率上昇がそれらを十分に吸収しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,355億2,100万円 (前期比 +9.4%)に達しました。特筆すべきは収益性の高さであり、経営指標として重視している「4年累計経常利益率20%以上」という目標を 10期連続で達成 しており、景気変動に強い経営基盤が改めて示された形です。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績前期比利益率
売上高3,933億円4,368億円+11.1%-
営業利益1,668億円1,849億円+10.9%42.3%
経常利益1,689億円1,849億円+9.5%42.3%
当期純利益1,238億円1,355億円+9.4%31.0%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

同社は精密加工装置・ツールの単一セグメントですが、地域別の動向を見ると、特に生成AI関連のサプライチェーンが集中するアジア圏での成長が顕著です。中国市場の売上高は 1,349億円 (構成比 30.9%)に達し、台湾市場も 1,173億円 (同 26.9%)と、両地域で全体の過半数を占める結果となりました。これは先端パッケージング技術への投資がこれら地域で活発に行われた背景を反映しています。

一方で、用途別では強弱が見られました。生成AI向けが絶好調だった一方で、電気自動車(EV)市場の減速を背景に、パワー半導体向けの需要は前期に比べ低調に推移しました。しかし、同社の強みである 「切る・削る・磨く」という汎用性の高いコア技術 が、不振な分野を好調な分野で補うことを可能にしています。製品別では、装置本体の出荷額が前期比 10.3%増4,428億円 となり、将来の消耗品需要の拡大に向けた「種まき」も着実に進んでいます。

主要地域別売上高前期実績(百万円)当期実績(百万円)構成比
日本41,04345,60610.4%
中国125,375134,97530.9%
台湾74,404117,37826.9%
米州(米国含む)48,38334,9038.0%
アジア(その他)33,88844,11510.1%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
精密加工装置・ツール等(単一セグメント)4,369億円100%1,850億円42.3%

財務状況と資本政策

財務基盤は一段と強化されており、総資産は前期末比で 893億円 増加し 7,434億円 となりました。自己資本比率は前期の75.1%から 78.9% へと上昇し、極めて健全な財務状態を維持しています。現金及び預金が 2,845億円 と大幅に増加したほか、製造能力の拡大を目的とした土地・建物の取得により、有形固定資産も 2,232億円 (同 192億円増)に拡大しました。

株主還元については、業績連動配当の方針に基づき、大幅な増配を決定しました。年間配当金は前期の413円から 505円 (第2四半期末129円、期末376円)へと引き上げられ、配当性向は 40.4% となりました。成長投資のための内部留保を確保しつつも、 利益の約4割を株主に還元 する姿勢を鮮明にしています。また、投資活動によるキャッシュ・フローでは、定期預金の預け入れ(1,000億円)や将来の成長を見据えた設備投資を積極的に行っています。

リスクと課題

同社は今後のリスク要因として、以下の点を挙げています。

  • 顧客の投資意欲の変動: 半導体市場は生成AIなどの特定分野に依存しており、顧客の投資計画が短期間で激しく変動するリスクがあります。このため、通期予想をあえて開示せず、1四半期先までの予想のみを公表する方針を継続しています。
  • 為替変動の影響: 海外売上比率が約9割と高いため、為替レートの変動が業績に直結します。2027年3月期第1四半期の想定レートは1米ドル= 157円 と設定しており、円高が急激に進んだ場合は利益の押し下げ要因となります。
  • 外部環境の不確実性: パワー半導体分野に見られるようなEV需要の鈍化や、地政学リスクに伴うサプライチェーンへの影響が懸念材料として残っています。

これらのリスクに対応するため、同社は生産体制の柔軟性確保と、研究開発を通じた製品のさらなる高付加価値化を急いでいます。

通期見通し

2027年3月期については、需要予測が困難なことから第1四半期(4-6月期)の予想のみを公表しています。生成AI向けの勢いは持続すると見ており、増収増益の強気な見通しです。

連結業績予想(27/3期 Q1)数値前年同期比
売上高1,061億円+18.0%
営業利益420億円+21.8%
純利益295億円+24.1%

AI関連の投資が継続する中で、精密加工装置の出荷は1,320億円と高い水準を維持する見込みです。今後の焦点は、一時的に停滞しているパワー半導体向けの需要回復の時期と、高水準な研究開発投資がいかに次世代の収益源につながるかに集まります。

AIアナリストの視点

ディスコの決算は、まさに「生成AI相場」の恩恵を一身に受けた内容といえます。特筆すべきは、売上高が伸びる中で40%を超える営業利益率を堅持している点です。これは、同社の「KABU(切る・削る・磨く)」技術が代替困難な世界シェアを持っており、価格決定権を握っている証左です。

  • 懸念点としては、中国市場への依存度の高さ(売上の約3割)が挙げられます。米中貿易摩擦などの地政学リスクが表面化した際の影響は他社より大きくなる可能性があります。
  • 注目ポイントは「消耗品」の売上です。装置の出荷が増えるほど、後追いで交換用ブレードなどの需要が発生するため、将来の利益の「質」が非常に高いのが特徴です。
  • 就活生にとっても、この圧倒的な収益性と業績連動の賞与体系は非常に魅力的であり、半導体業界の中でも屈指の優良企業としての地位は揺るぎないでしょう。