第一三共・2026年3月期Q3、売上高12%増の1兆5,334億円——主力のがん治療薬が世界で絶好調、増配も継続
売上高
1.5兆円
+12.1%
通期予想
2.1兆円
営業利益
2,338億円
-5.9%
通期予想
3,350億円
純利益
2,174億円
+4.2%
通期予想
2,880億円
営業利益率
15.2%
主力のがん治療薬「エンハーツ」が世界中で売れ、売上高は 1兆5,334億円 (前年同期比 12.1%増 )と好調です。前年にあった会社売却益がなくなったため営業利益は 2,337億円 (同 5.9%減 )となりましたが、本業の儲けを示す コア営業利益 は着実に伸びています。
業績のポイント
売上高は 1兆5,334億円 (前年比 12.1%増 )と二桁成長です。
主力のがん治療薬「エンハーツ」が国内外で大きく伸びました。
本業の強さを表すコア営業利益も 2,492億円 (同 8.8%増 )でした。
営業利益が減ったのは、前年に子会社を売った「臨時収入」があったためです。
薬の開発に使う費用は 3,386億円 (同 12.7%増 )と、将来への投資も増やしています。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- オンコロジー(がん事業): 売上高 4,392億円 (前年比 30.3%増 )。主力薬「エンハーツ」が欧米で非常に好調でした。
- ジャパンビジネス: 売上高 3,908億円 (前年比 1.3%増 )。血を固まりにくくする薬などが伸び、プラスを維持しました。
- アメリカンリージェント: 売上高 1,419億円 (前年比 16.5%減 )。主力製品の売上が落ち込み、苦戦しています。
- EUスペシャルティ: 売上高 2,001億円 (前年比 12.2%増 )。コレステロールを下げる薬などが順調に売れました。
- ASCA(アジア・中南米): 売上高 1,872億円 (前年比 20.8%増 )。中国でのがん治療薬の普及が大きく貢献しました。
- ヘルスケア: 売上高 706億円 (前年比 4.7%増 )。「クリーンデンタル」や「ロキソニン」などのブランドが好調でした。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| オンコロジーユニット | 4,392億円 | 29% | — | — |
| ジャパンビジネスユニット | 3,908億円 | 26% | — | — |
| アメリカンリージェントユニット | 1,419億円 | 9% | — | — |
| EUスペシャルティユニット | 2,001億円 | 13% | — | — |
| ASCAビジネスユニット | 1,872億円 | 12% | — | — |
| 第一三共ヘルスケアユニット | 706億円 | 5% | — | — |
財務状況と資本政策
総資産は 3兆8,218億円 となり、前期末から 3,657億円 増えました。
在庫や建物への投資が増えたことが主な要因です。
配当は、年間で1株 78円 (前年より 18円増 )を予定しています。
また、最大 2,000億円 の自社株買いを決定し、株主への還元を強めています。
リスクと課題
- 新薬開発の成否: 開発中の薬が承認されない場合、将来の成長が止まる恐れがあります。
- 特許の期限: 主力製品の特許が切れると、安い後発品に市場を奪われるリスクがあります。
- 為替の変動: 海外売上比率が高いため、円高が進むと円建ての利益が減ってしまいます。
通期見通し
通期の売上予想は 2兆1,000億円 (前年比 11.3%増 )を見込みます。
純利益は 2,880億円 (同 2.6%減 )となる見通しです。
期初の予想から変更はなく、計画通りにビジネスが進んでいると判断しています。
第一三共は、今や「日本を代表したがん薬メーカー」としての地位を確立しています。特筆すべきは、独自技術であるADC(抗体薬物複合体)の圧倒的な強さです。
主力薬エンハーツの適応拡大が世界中で進んでおり、これが成長のエンジンとなっています。営業利益の表面的な減少は、前年の子会社売却に伴う特殊な利益の反動に過ぎず、中身は極めて健全です。
一方で、米国の一部製品の減収や、巨額の研究開発費(売上比率20%超)を維持し続けるための継続的な成長が求められます。投資家にとっては、株主還元への積極姿勢も魅力的なポイントと言えるでしょう。
