第一生命HD・2026年3月期Q3、純利益4.7%増の3,703億円——運用収益が拡大、通期予想と配当を修正
売上高
8.3兆円
+6.1%
通期予想
11.1兆円
営業利益
5,977億円
+7.2%
通期予想
7,180億円
純利益
3,703億円
+4.7%
通期予想
4,080億円
営業利益率
7.2%
第一生命ホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結決算は、本業の儲けを示す経常利益が前年同期比 7.2%増 の 5,977億円 となった。国内外の株価上昇や円安進行を背景に、資産運用収益が大幅に増加 したことが増益を牽引した。同社は決算発表に合わせ、最新の市場環境を反映して通期業績予想と期末配当予想の 上方修正 を発表しており、株主還元への姿勢を一段と強めている。
業績のポイント
当第3四半期累計期間の業績は、売上高にあたる経常収益が前年同期比 6.1%増 の 8兆3,207億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同 4.7%増 の 3,703億円 と、着実な成長を見せた。世界的な株価指数の上昇や、10月以降のドル高円安の進行が運用環境に追い風となった格好だ。
増収の主因は、第一生命保険および第一フロンティア生命における資産運用収益の拡大にある。資産運用収益は前年同期の2兆3,099億円から 18.9%増 の 2兆7,472億円 へと大きく伸びた。一方で、外貨建て保険の販売好調等に伴い、第一フロンティア生命での責任準備金繰入額が 52.1%増 と急増したが、運用収益の伸びがこれを十分に吸収し、全体として増益を確保した。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力である国内保険事業は、経常収益が 5兆8,720億円、セグメント利益は前年同期の4,446億円から 13.1%増 の 5,030億円 と堅調に推移した。国内株式の配当金収入や有価証券売却益が寄与し、金利上昇局面での柔軟なポートフォリオ運用が功を奏している。
海外保険事業の経常収益は 2兆6,032億円、セグメント利益は 1,258億円(前年同期は1,316億円)となった。米国を中心とした海外市場での金利変動や関税政策による不透明感はあったものの、現地通貨ベースでの運用収益は底堅く推移している。円安による換算上の押し上げ効果もあったが、市場環境の変化に伴うコスト増が利益面では微減の要因となった。
| セグメント | 経常収益 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 国内保険事業 | 5兆8,720億円 | +3.9% | 5,030億円 | +13.1% |
| 海外保険事業 | 2兆6,032億円 | △1.6% | 1,258億円 | △4.5% |
| その他事業 | 504億円 | +69.8% | 3040億円 | +36.0% |
※「その他事業」の利益には、連結調整前の子会社からの受取配当金等が含まれる。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内保険事業 | 5.9兆円 | 71% | 5,030億円 | 8.6% |
| 海外保険事業 | 2.6兆円 | 31% | 1,258億円 | 4.8% |
財務状況と資本政策
総資産は、有価証券の含み益拡大などにより、前期末比4.0%増の 72兆3,846億円 に達した。自己資本比率も 5.6% と、前期末の5.0%から改善しており、強固な財務基盤を維持している。
株主還元については、2025年4月1日付で実施した 1株を4株にする株式分割 に加え、積極的な自己株買いを継続している。当期間中に 自己株式が約655億円増加 しており、資本効率の向上を追求する姿勢が鮮明だ。また、期末配当予想についても、好調な業績を背景に従来の予想から増額修正を行っており、投資家にとって魅力的な還元水準を維持している。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想について、経常収益を従来の予想から上方修正し、11兆670億円(前期比12.1%増)とした。一方で、責任準備金の積み増しなどのコスト要因を精査し、純利益は前期比5.0%減の 4,080億円 を見込む。市場環境の変動を織り込みつつも、営業基盤の拡大による収益力の底上げを狙う方針だ。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 経常収益 | - | 11兆670億円 | 9兆8,710億円 |
| 経常利益 | - | 7,180億円 | 7,184億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | 4,080億円 | 4,295億円 |
リスクと課題
同社が直面する主なリスクは以下の通りである。
- 金融市場の変動リスク: 日米の金利政策の乖離や、為替相場の急激な変動は、運用収益や責任準備金の評価に直接的な影響を与える。
- 地政学・政策リスク: 米国の新政権による関税政策や、グローバルなインフレ動向が世界経済を減速させる可能性があり、海外事業の成長鈍化が懸念される。
- 競争環境の変化: 国内市場の成熟に伴い、デジタル化を通じた顧客接点の強化や、高収益な新商品の開発競争が一段と激化している。
第一生命HDの決算は、金融市場の追い風を的確に捉えた内容と言えます。特に、株式分割による投資家層の拡大と、機動的な自己株買いによる「資本の柔軟な活用」が評価されます。
注目すべきは国内保険事業の利益率の改善です。金利上昇局面において、既存の低利回り資産から高利回り資産への入れ替えが進んでおり、これが中長期的な収益基盤の強化につながっています。
懸念点としては、第一フロンティア生命における責任準備金繰入額の大きさですが、これは外貨建て保険の売れ行きが良いことの裏返しでもあり、将来の利益の源泉とも見れます。今後、為替が円高に振れた際の利益感応度には注意が必要ですが、全体としては盤石な決算です。
