生命保険2社・2026年3月期第3四半期——第一生命HDが業績・還元で独走、T&Dは「見かけの減益」も実力は健在
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今期の総括
金利上昇が追い風、業績好調で還元競争が激化
国内生保大手2社のQ3決算は、運用環境の好転が追い風となりました。第一生命HDは全ての指標で前年を上回り、増配と株式分割をセットで発表。対するT&D HDは会計上の理由で純利益こそ減りましたが、実質的な稼ぐ力であるグループ修正利益は2割超の伸びを記録。両社とも強固な収益基盤を証明しています。
業界全体の動き
この期間、生保業界には3つの追い風が吹きました。
- 金利上昇と株高: 国内外の金利上昇や好調な株式市場により、資産運用の利回りが大きく改善しました。
- 円安による押し上げ: 外国証券からの利息収入が、円換算で膨らみ収益に貢献しました。
- 株主還元の加速: 資本効率を高めるため、増配や自社株買い、株式分割などの施策が相次いでいます。
売上高ランキング
第一生命HDが8兆円超えと圧倒的な規模。T&Dも2.6兆円と堅調ですが、分母の大きさが際立ちます。
営業利益ランキング
両社とも前年超え。特に第一生命HDは5,977億円と、巨額の利益を安定的に稼ぎ出しています。
営業利益率ランキング
7%前後で両社が並ぶ。金融環境の改善を、どちらも効率よく利益へ変換できている証拠です。
売上高 前年同期比
第一生命HDが6.1%増と、巨大な規模ながらT&D(3%増)を上回る成長スピードを見せました。
純利益 前年同期比
T&Dの-9.8%は準備金積み増しによる一時的影響。実力値では両社とも2桁成長に近い勢いです。
勝者と敗者:規模と成長で第一生命HDがリード
今決算の「勝者」は、全ての項目でプラス成長を遂げた第一生命HDです。
- 経常収益は 8兆3,208億円(前年比 6.1%増)と巨額です。
- 純利益も 3,703億円(前年比 4.7%増)と、規模と成長を両立しました。
一方でT&D HDは、純利益が 1,087億円(前年比 9.8%減)と苦戦したように見えます。しかし、これは将来の支払いに備える「価格変動準備金」を多めに積んだことが原因です。本業の儲けを示す修正利益は 22.1%増 と、実態は極めて好調です。
勝者
第一生命ホールディングス
苦戦
T&Dホールディングス(純利益のみ)
注目の動き・戦略比較
両社は「稼いだ利益をどう還元するか」で特徴的な戦略を見せています。
- 第一生命HD: 1対4の株式分割を断行。個人投資家が買いやすい環境を整え、ファン層の拡大を狙います。分割後の配当も実質増配とし、死角のない還元姿勢です。
- T&D HD: 発行済み株式の約1割に及ぶ大規模な自社株買いを公表。1株あたりの価値を強引に引き上げる、投資家重視の姿勢が鮮明です。
業界共通のリスク
好調な決算の裏には、以下の懸念点も潜んでいます。
- 急激な円高転換: 運用収益の多くが外貨建てのため、為替が大きく円高に振れると利益が削られます。
- 金利上昇による逆風: 運用にはプラスですが、保有債券の価格下落という評価損のリスクも抱えています。
- 積立金負担の増加: 契約者への将来の支払いに備える「責任準備金」の負担は、売上に連動して増え続けています。
就活生・転職希望者へ
生保業界は今、単なる「保険売り」から「機関投資家」としての色を強めています。特に国内金利の復活により、運用のプロフェッショナルとしての活躍の場が広がっています。第一生命HDのような巨大組織でグローバルに動くか、T&D HDのように独自性の強い還元策で市場と対話するか、社風の差がより明確になっています。
