ANAホールディングス株式会社 の会社詳細
ANAホールディングス株式会社
ANAホールディングス
2026年3月期 第3四半期

ANAホールディングス・2026年3月期Q3、売上高10%増の1兆8,773億円——国際線好調とNCA子会社化が寄与、自己資本比率も37%台へ改善

ANAホールディングス
全日本空輸
決算短信
増収増益
日本貨物航空
インバウンド需要
自己資本比率
種類株式
航空業界
NCA子会社化
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.9兆円

+10.3%

通期予想

2.5兆円

進捗率76%

営業利益

1,807億円

+5.6%

通期予想

2,000億円

進捗率90%

純利益

1,392億円

+3.9%

通期予想

1,450億円

進捗率96%

営業利益率

9.6%

ANAホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期(2025年4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 10.3%増1兆8,773億円、営業利益が同 5.6%増1,807億円 と増収増益を確保しました。好調な訪日旅行客の取り込みや国際線の新規就航に加え、2025年8月に実施した日本貨物航空(NCA)の連結子会社化が収益を押し上げました。旺盛な旅客需要が燃油費や人件費の上昇をカバーし、純利益も同 3.9%増1,392億円 と堅調に推移しています。

業績のポイント

当第3四半期の業績は、航空需要の力強い回復と戦略的な事業拡大が実を結ぶ形となりました。主力の航空事業では、インバウンド(訪日外国人)需要と日本発のレジャー需要を積極的に取り込み、国際線・国内線ともに旅客収入が前年を上回っています。特に国際線は、欧州3路線の新規就航や香港・パース線の増便といった積極的な供給拡大が奏功し、売上高全体の成長を牽引しました。

利益面では、航空燃料費の高騰や人的資本への投資に伴う人件費の増加が重荷となりましたが、増収効果によってこれらを吸収し、営業利益は 1,807億円(前年同期比 +5.6%)を達成しました。また、日本貨物航空(NCA)の完全子会社化に伴い、負ののれん発生益 71億円 を特別利益に計上したことも、純利益の押し上げ要因となっています。

項目2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上高1兆7,027億円1兆8,773億円+10.3%
営業利益1,711億円1,807億円+5.6%
経常利益1,815億円1,826億円+0.6%
四半期純利益1,340億円1,392億円+3.9%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力セグメントである航空事業は、売上高 1兆7,076億円(前年同期比 +10.0%)、営業利益 1,738億円(同 +1.4%)と、グループ全体の収益基盤を支えました。国際線旅客では、訪日需要を背景に旅客数が前年比 11.7%増 と大きく伸び、利用率も 82.0%(前年同期は78.5%)まで向上しています。一方、貨物事業(ANAブランド)は、自動車関連やEコマース需要の減退により単価が下落し、国際線貨物収入は前年同期比 3.4%減 と苦戦しましたが、NCAの連結化によってグループ全体での貨物輸送能力と網羅性は強化されました。

航空関連事業は、外国航空会社からの地上支援業務(グランドハンドリング)の受託拡大や国際貨物の取扱高増加により、売上高 2,657億円(前年同期比 +9.3%)、営業利益 92億円(同 142.4%増)と大幅な増益を記録しました。旅行事業については、主力のダイナミックパッケージが国内で苦戦したものの、コスト管理の徹底により 6億円 の営業黒字(前年同期は1億円の赤字)に転換しています。商社事業も大阪・関西万博に関連する観光土産品販売が好調で、売上高は 20.4%増1,174億円 と大きく伸長しました。

セグメント売上高 (億円)前年同期比営業利益 (億円)前年同期比
航空事業17,076+10.0%1,738+1.4%
航空関連事業2,657+9.3%92+142.4%
旅行事業499△9.1%6黒字転換
商社事業1,174+20.4%62+58.3%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
航空事業1.7兆円80%1,739億円10.2%
航空関連事業2,657億円12%92億円3.5%
旅行事業500億円2%6億円1.3%
商社事業1,174億円6%62億円5.3%

財務状況と資本政策

財務体質の改善が着実に進んでいます。総資産はNCAのグループ化に伴う航空機の増加などで前期末比 2,033億円増3兆8,236億円 となりました。一方で、負債の部では劣後ローンの返済や有利子負債の削減を継続し、有利子負債残高は前期末から 1,607億円減少 して 1兆1,882億円 まで圧縮されています。これは、コロナ禍で膨らんだ債務の正常化が進んでいることを示しています。

特筆すべきは、2025年12月に実施した第1回社債型種類株式の発行です。約 1,950億円 の資金を調達し、これを全額その他資本剰余金に振り替えることで自己資本を厚くしました。この結果、純資産は 1兆4,507億円 に増加し、自己資本比率は前期末の 31.2% から 37.7% へと大きく向上しました。成長投資のための資金確保と、格付維持に向けた資本構成の最適化を同時に実現する経営判断を下しています。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想については、2025年10月に公表した数値を据え置いています。売上高は前期比 9.6%増2兆4,800億円、営業利益は 2,000億円(同 +1.7%)を見込み、過去最高の収益水準を維持する計画です。下期に入り燃料価格や為替の変動といった外部環境の不透明感は残るものの、旺盛な国際線需要が通期での目標達成を支える見通しです。

項目前回予想(10/30)今回予想前期実績(FY2024)
売上高2兆4,800億円2兆4,800億円2兆2,624億円
営業利益2,000億円2,000億円1,967億円
純利益1,450億円1,450億円1,530億円
年間配当60円60円50円

リスクと課題

会社側は、先行きの不透明要因として以下の点を挙げています。

  • 地政学リスクの継続: ウクライナや中東情勢の長期化に伴う航路変更や燃料価格への影響。
  • 外部環境の変動: 米国の通称政策の変化による景気下振れリスク、および物価動向が消費マインドに与える影響。
  • 貨物単価の動向: NCAの連結化により規模は拡大したものの、世界的な荷動きの鈍化や運賃単価の下落が収益性を圧迫する懸念。
  • オペレーションコスト: 人手不足に伴う人件費の上昇や、自動運転導入等のDX投資負担の増加。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、単なる業績回復を超えた「財務基盤の再構築」です。コロナ禍で傷んだバランスシートを、社債型種類株式の発行(約1,950億円)という機動的な手法で補強し、自己資本比率を37.7%まで引き上げた点は、将来の成長投資(機材更新等)に向けた確かな布石といえます。

また、日本貨物航空(NCA)の連結化により、従来のANAブランドの貨物事業の落ち込みをグループ全体でカバーできる体制を構築しました。旅客事業が好調なうちに貨物事業の構造改革を進め、収益の多角化を図る戦略が明確になっています。

就活生にとっては、同社が「5スター」評価を13年連続で維持しつつ、無人搬送などのDX投資にも積極的である点は、伝統的企業ながら変革を厭わない社風として魅力的に映るでしょう。今後は、燃油価格や為替のボラティリティをいかに吸収し、過去最高水準の利益を継続できるかが焦点となります。