アドバンテスト・2026年3月期Q3、営業利益110%増の3,460億円——AI需要爆発で過去最高、通期予想を上方修正
売上高
8,005億円
+46.3%
通期予想
1.1兆円
営業利益
3,460億円
+110.8%
通期予想
4,540億円
純利益
2,485億円
+105.0%
通期予想
3,285億円
営業利益率
43.2%
半導体検査装置(テスタ)世界最大手のアドバンテストが発表した2026年3月期第3四半期決算は、売上高・利益ともに過去最高を更新する極めて強い内容となった。生成AIの普及を背景に、データセンター向けの高性能半導体(HPC)や高性能DRAM向けのテスタ需要が想定を大きく上回って推移し、営業利益は前年同期比2.1倍の3,460億円に達した。同社は旺盛な需要を反映し、通期の業績予想を大幅に上方修正している。
業績のポイント
当第3四半期累計期間(2025年4月1日〜12月31日)の連結業績は、売上高が8,005億円(前年同期比+46.3%)、営業利益が3,460億円(同+110.8%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益が248,526百万円(同+105.0%)となった。全ての利益指標で過去最高額を塗り替えており、特に収益性の高い先端半導体向け製品の構成比が高まったことが利益を押し上げた。
世界的なAIブームにより、データセンターなどで使用されるHPC(高性能コンピューティング)デバイスのテスト需要が爆発的に増加した。また、スマートフォンを中心とした民生機器向け半導体も堅調に推移し、自動車・産業機器関連も年央以降に底打ちの兆しが見えるなど、広範な市場で回復・成長が鮮明となっている。同社は供給能力を強化し、顧客の旺盛な設備投資意欲にタイムリーに応えたことで、歴史的な増収増益を達成した。
業績推移(通期)
セグメント別動向
当連結会計年度よりセグメント区分を変更しており、主力事業を統合した「テストシステム事業」が全体の成長を強力に牽引した。AI関連の高性能SoC(システム・オン・チップ)や高性能DRAM向けの販売が絶好調であり、高度化する半導体設計に対応した高単価なテスタの需要が継続している。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| テストシステム事業 | 7,231億円 | +51.1% | 3,577億円 | +103.2% |
| サービス他 | 775億円 | +12.8% | 48億円 | +921.7% |
「テストシステム事業」では、SoCテストシステムにおいてAI関連デバイス向けの売上が大幅に増加した一方、自動車や産業機器などの成熟半導体向けは軟調に推移した。しかし、メモリテストシステムで高性能DRAM向けの販売が堅調だったことが、全体を大きく押し上げた。
「サービス他」部門では、同社製品の設置台数増加に伴い、サポート・メンテナンスの売上が着実に伸長した。なお、当四半期には事業の一部譲渡による譲渡益約25億円が利益に含まれているが、それを除いても大幅な増益を達成している。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| テストシステム事業 | 7,231億円 | 90% | 3,577億円 | 49.5% |
| サービス他 | 775億円 | 10% | 48億円 | 6.1% |
財務状況と資本政策
当第3四半期末の総資産は、前年度末比1,663億円増の1兆205億円となった。売上拡大に伴い現金および現金同等物が668億円増加したほか、生産体制の維持・拡大に向けた棚卸資産や有形固定資産の増加が主な要因である。親会社所有者帰属持分比率は66.1%と、前年度末の59.3%から6.8ポイント上昇し、極めて強固な財務基盤を維持している。
株主還元策として、積極的な自己株式の取得と消却を打ち出している。当期間中に自己株式を935億円取得したほか、2026年1月28日の取締役会において、発行済株式総数の4.46%に相当する34,141,256株の消却(2026年2月6日予定)を決議した。配当についても、中間配当を前期の19円から29円へ増額しており、資本効率の向上と株主還元の両立を図る姿勢を鮮明にしている。
通期見通し
2026年3月期の通期業績予想について、売上高・利益ともに前回予想から大幅な上方修正を発表した。当初は下期に需要の調整局面を見込んでいたが、AI関連需要の勢いが衰えず、第4四半期も良好な事業環境が継続すると判断したためだ。修正後の営業利益予想は前期実績の約2倍となる4,540億円を見込んでいる。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 9,500億円 | 1兆700億円 | 7,797億円 |
| 営業利益 | 3,740億円 | 4,540億円 | 2,282億円 |
| 税引前利益 | 3,715億円 | 4,525億円 | 2,248億円 |
| 当期利益 | 2,750億円 | 3,285億円 | 1,612億円 |
修正の背景には、テスタの需要継続に加え、為替前提の見直しも影響している。通期の想定為替レートを1米ドル=140円(従来145円)、1ユーロ=155円(同155円)に設定。足元の堅調な受注状況と製品供給能力の拡大により、通期でも過去最高業績の達成を確実なものにしている。
リスクと課題
業績は絶好調であるものの、会社側は依然として外部環境の不透明さを警戒している。主なリスク要因として、以下の点を挙げている。
- 地政学的リスク: 米中貿易摩擦を背景とした輸出規制やサプライチェーンの分断リスク。
- 急激な為替変動: 海外売上比率が97.8%と極めて高いため、円高進行による業績押し下げリスク。
- 関税措置の影響: 現時点での直接的な影響は軽微と見ているものの、主要国での関税引き上げなどの動向を注視する必要がある。
- 成熟市場の動向: 軟調に推移している自動車・産業機器向けの需要回復の時期と速度の不確実性。
アドバンテストの決算は、まさに「AI勝ち組」としての実力を見せつける内容でした。特筆すべきは営業利益率で、第3四半期累計で43.2%という驚異的な水準に達しています。これは、AI向けテスタが単なる数量増加だけでなく、複雑化に伴う「高付加価値化(単価上昇)」に成功していることを示唆しています。
投資家や就活生にとって注目すべきは、同社が当初予想していた「下期の調整局面」を完全に否定する形で上方修正を行った点です。これはAI需要が一時的なブームではなく、実需を伴う中長期的なトレンドであることを裏付けています。一方で、海外売上比率が約98%と極めて高く、世界情勢(特に関税や輸出規制)の影響をダイレクトに受ける体質であることは、常に念頭に置くべき「アドバンテスト固有のリスク」と言えるでしょう。
