アコム株式会社 の会社詳細
アコム株式会社
アコム
2026年3月期 第3四半期

アコム・2026年3月期Q3、純利益46%増の686億円——貸付金増に加え税効果が寄与、通期も大幅増益へ

アコム
消費者金融
増収増益
純利益46%増
配当増額
海外展開
繰延税金資産
資金需要拡大
ノンバンク
MUFGグループ
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

2,513億円

+6.1%

通期予想

3,318億円

進捗率76%

営業利益

820億円

+9.8%

通期予想

886億円

進捗率93%

純利益

687億円

+46.4%

通期予想

722億円

進捗率95%

営業利益率

32.6%

アコムが30日に発表した2026年3月期第3四半期決算は、営業収益が前年同期比 6.1%増2,512億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同 46.4%増686億円 と大幅な増益を記録しました。国内での資金需要の拡大を背景に営業貸付金残高が伸長したほか、繰延税金資産の回収可能性の見直しに伴う法人税等調整額の計上が利益を大きく押し上げました。好調な業績を受け、年間配当は前期から6円増の 20円 を計画するなど、積極的な株主還元姿勢も示しています。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の業績は、本業の収益力を示す営業収益が 2,512億円(前年同期比 +6.1%)、営業利益は 819億円(同 +9.8%)となりました。雇用・所得環境の改善が進むなか、国内の個人消費拡大に伴い資金需要が活況となったことが追い風となりました。特に、主力の営業貸付金利息や信用保証収益が着実に増加し、増収を牽引しました。

利益面では、ベースアップに伴う人件費の増加や、貸付金残高の拡大に伴う貸倒関連費用の増加(営業費用 1,692億円、同 +4.4%)といったコスト増要因がありました。しかし、それを上回る収益の伸びにより、営業利益・経常利益ともに増益を確保しています。

特筆すべきは純利益の伸び率で、前年同期比 46.4%増686億円 に達しました。これは、将来の利益見通しに基づき繰延税金資産の回収可能性に係る企業分類を変更したことで、法人税等調整額が利益を押し上げる要因となったためです。一過性の側面はあるものの、会社全体の収益基盤が強固であることを裏付ける結果となりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

全ての報告セグメントにおいて黒字を確保し、国内外でバランスの取れた成長を見せました。特に主力の国内ローン・クレジットカード事業が収益の柱として安定感を示しています。

セグメント名営業収益前年同期比セグメント利益前年同期比
ローン・クレジットカード136,312+7.5%46,703+14.9%
信用保証60,006+6.3%17,019△5.9%
海外金融49,498+1.6%16,675+13.7%
債権管理回収5,418+11.6%1,263+15.1%

「ローン・クレジットカード事業」は、新規顧客の獲得強化や審査スピードの向上といった施策が奏功し、営業貸付金利息が大幅に増加しました。「信用保証事業」は保証収益こそ伸びたものの、貸倒関連費用の増加により利益面では微減となりました。

「海外金融事業」では、タイ王国やフィリピン共和国、マレーシアにおいて個人消費の拡大を背景に緩やかな成長が続いています。現地規制への対応を進めつつ、地域特性に応じたビジネス展開を加速させたことで、セグメント利益は 13.7%増 と二桁成長を達成しました。国内のみならず、アジア圏の成長を取り込む戦略が着実に成果を上げています。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ローン・クレジットカード事業1,363億円54%467億円34.3%
信用保証事業600億円24%170億円28.4%
海外金融事業495億円20%167億円33.7%
債権管理回収事業54億円2%13億円23.3%

財務状況と資本政策

2025年12月末時点の総資産は、前期末比 704億円増1兆5,568億円 となりました。主な要因は、積極的な貸出活動により営業貸付金が 362億円増加 したことや、ショッピング利用の拡大で割賦売掛金が 119億円増加 したことによります。事業拡大に伴い資産規模が着実に拡大しています。

自己資本比率は 44.6% となり、前期末の 44.0% から 0.6ポイント上昇 しました。純利益の積み上げにより利益剰余金が増加したことが、財務健全性の向上に寄与しています。ノンバンクとして強固な自己資本基盤を維持しており、今後の成長投資に向けた余力も十分と言えます。

株主還元については、中間配当を 10円(前年同期は7円)とし、期末配当予想も 10円 としています。これにより、年間配当は前期の14円から6円増の 20円 となる見込みです。安定的な配当の継続を基本方針としつつ、利益成長に応じた還元を行う姿勢を鮮明にしています。

リスクと課題

今後の懸念材料として、会社側は以下のリスク要因を注視しています。

  • 利息返還請求の動向: 過去に発生した利息返還請求については、請求件数が着実に減少しているものの、外部環境の変化により動向が変動する可能性があるため、引き続き注視が必要としています。
  • 物価上昇と個人消費の影響: 物価上昇の継続や金融市場の変動が、国内および展開先の海外諸国の個人消費や景気を下押しするリスクがあります。
  • 貸倒費用の抑制: 貸付金の拡大に伴い貸倒コストも増加傾向にあり、適切な与信管理による資産の質の維持が重要課題となります。
  • 海外の規制リスク: 海外金融事業においては、各国の金融当局による規制変更が収益性に影響を与える可能性があり、現地の動向把握が不可欠です。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想については、前回発表の数値を据え置いています。純利益については、前期実績に対して 124.8%増 となる 722億円 を見込んでおり、第3四半期時点での進捗率は 95.1% と非常に高い水準にあります。

項目前回予想今回修正前期実績
営業収益3,318億円修正なし3,178億円
営業利益886億円修正なし585億円
純利益722億円修正なし321億円

通期の営業利益率は 26.7% を見込んでおり、前期(18.4%)から大幅に改善する計画です。下期に向けた不透明感はあるものの、足元の好調な資金需要と税効果による利益押し上げにより、計画達成に向けた蓋然性は極めて高い状況と言えます。

AIアナリストの視点

アコムの決算は、本業の堅調さと会計上の要因が重なり、非常に強力な数字となりました。特に、国内の資金需要が底堅いことは、個人消費の回復を裏付けており、就活生にとっても業界の将来性を感じる内容です。

注目すべきは、純利益の急増を招いた「繰延税金資産の企業分類変更」です。これは会社が「将来にわたって安定的に利益を出し続けられる」と自ら判断し、監査法人もそれを認めたことを意味します。単なる数字上のマジックではなく、収益力に対する経営陣の自信の表れと捉えることができます。

リスク面では、長年の懸案であった「利息返還請求」が落ち着きを見せている点がプラスです。一方で、海外事業(特にタイやフィリピン)が成長の柱に育っており、今後は「国内の安定」と「アジアの成長」をどう両立させるかが投資家・就活生にとっての焦点になるでしょう。