業界ダイジェスト
株式会社ZOZO の会社詳細
株式会社ZOZO
ZOZO
2026年3月期 通期

ZOZO・2026年3月期通期、売上高・取扱高が過去最高を更新——LYST連結と冬セール好調で営業利益7.1%増の693億円

ZOZO
増収増益
過去最高更新
ZOZOTOWN
LYST連結
M&A
配当性向70%
自己株買い
ファッションEC
構造改革
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

2,284億円

+7.2%

通期予想

2,419億円

進捗率94%

営業利益

694億円

+7.1%

通期予想

744億円

進捗率93%

純利益

479億円

+5.7%

通期予想

497億円

進捗率96%

営業利益率

30.4%

ファッションEC最大手のZOZOが30日に発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前年比7.2%増228,373百万円、営業利益が同7.1%増69,366百万円となり、過去最高業績を更新した。主力サイト「ZOZOTOWN」での集客施策に加え、英国LYST社の連結化や配送効率の改善が利益を押し上げた。一方で、不採算となっていた製造支援事業からの撤退を決めるなど、成長領域への選択と集中を鮮明にしている。

トーク

ZOZO 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

0:00

業績のポイント

2026年3月期の業績は、商品取扱高(GMV)が前年比8.4%増666,035百万円に達し、売上・利益ともに着実な成長を遂げた。特に第4四半期において冬の本セール販売が伸長し、期初に掲げた計画を上回る着地となった。営業利益は69,366百万円(前年比+7.1%)を記録し、売上高営業利益率は30.4%と高い収益性を維持している。

集客面では、アクティブ会員数が1,247万人(前年同期比107万人増)と二桁増を記録した。テレビCMやSNS広告の積極投入に加え、ポイント付与施策を通じた休眠会員の掘り起こしが奏功した。物流面でも配送受託先との条件改善や拠点効率化が進み、荷造運賃比率を抑えることに成功している。

項目前期実績当期実績前年比
商品取扱高614,361百万円666,035百万円+8.4%
売上高213,131百万円228,373百万円+7.2%
営業利益64,756百万円69,366百万円+7.1%
当期純利益45,346百万円47,926百万円+5.7%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向(事業別状況)

同社はEC事業の単一セグメントだが、内訳を見ると主力のZOZOTOWN事業が取扱高516,613百万円(前年比+5.0%)と全体を牽引した。受託販売ショップ数が1,689店舗まで拡大し、幅広いユーザーニーズに対応したことが奏功している。特に「ZOZOCOSME」などのカテゴリー強化が新規顧客の獲得に寄与した。

2025年5月から連結対象となったファッションプラットフォーム「LYST」は、取扱高42,245百万円、売上高5,776百万円を計上した。欧米市場でのラグジュアリー需要の停滞や関税制度の変更といった外部要因により、当初計画には届かなかったものの、グローバル展開の足がかりとしての存在感を高めている。

LINEヤフーとの連携による「LINEヤフーコマース」経由の取扱高は、前年比13.4%増78,926百万円と二桁成長を記録した。「本気のZOZO祭」などの販促イベントが定着し、ヤフー経済圏からの流入が着実に積み上がっている。一方で、BtoB事業はブランドの自社ECサイト構築支援が減少し、売上高は同38.2%減と苦戦した。

事業区分売上高前年比備考
ZOZOTOWN事業157,416百万円+3.6%受託販売が堅調
LINEヤフーコマース24,179百万円+13.4%送客施策が奏功
LYST5,776百万円新規連結影響
広告事業11,884百万円+6.0%媒体価値の向上

戦略トピック:事業構造の改革とM&A

今期は将来の成長に向けた「選択と集中」を加速させる重要な局面となった。まず、マルチサイズ(MS)展開やブランド生産支援(Made by ZOZO)といった自社生産関連事業の終了を決定した。これに伴い、固定資産の減損損失や事業整理損失として合計727百万円の特別損失を計上したが、不採算領域を切り離すことで経営リソースをコア事業に集中させる方針だ。

また、新たな成長の柱として香りの総合プラットフォーム「Coloria(カラリア)」を運営する株式会社High Linkの全株式取得(完全子会社化)を発表した。2026年4月16日付で買収を完了しており、ファッションと親和性の高いフレグランス領域への進出を図る。サブスクリプションモデルの知見を取り入れることで、従来の物販に依存しない収益基盤の構築を目指す構えだ。

財務状況と資本政策

総資産は前期末比10,450百万円増198,260百万円となった。LYST社の買収に伴い無形固定資産やのれんが大幅に増加した一方、現預金は自社株買いや配当支払により69,422百万円(前期末比22,064百万円減)となっている。自己資本比率は53.9%と、積極的な投資を行いながらも健全な水準を維持している。

株主還元については、連結配当性向70%以上という高い還元方針を堅持している。当期の年間配当金は株式分割後ベースで39円(総額34,488百万円)となった。また、約100億円の自己株買いを実施するなど、資本効率の向上に向けた積極的な姿勢を示しており、投資家からの評価を意識した資本政策が目立っている。

通期見通し

2027年3月期の連結業績予想について、売上高は前年比5.9%増241,900百万円、営業利益は同7.3%増74,400百万円と、増収増益の継続を見込む。国内ファッションEC市場の成長鈍化が懸念されるなか、ZOZOTOWNの利用率向上と、LYSTや新子会社High Linkを通じた周辺領域の拡大により成長を担保する計画だ。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想増減率
売上高228,373百万円241,900百万円+5.9%
営業利益69,366百万円74,400百万円+7.3%
親会社株主純利益47,926百万円49,700百万円+3.7%
1株当たり利益54.11円56.20円+3.9%

リスクと課題

持続的な成長に向けては、以下のリスク要因が挙げられている。

  • 消費マインドの低下: 物価上昇や気候変動(暖冬など)によるアパレル需要の減退リスク。
  • 海外事業の不透明感: LYST社が主戦場とする欧米市場のラグジュアリー不振や関税政策の変化。
  • 競争環境の激化: 国内外の他社ECプラットフォームとの獲得競争によるマーケティングコストの上昇。
  • 配送コスト: 物流2024年問題に伴う運賃上昇圧力が、今後の利益率を圧迫する可能性。
AIアナリストの視点

ZOZOの決算は、主力事業の盤石さと、次なる成長への布石が明確になった内容と言えます。

  • 評価すべき点: 国内のアパレル市場が頭打ちと言われる中で、アクティブ会員数を年間で100万人以上伸ばした集客力は驚異的です。また、単なる物販だけでなく、LYSTやHigh Link(カラリア)の買収を通じて、グローバル展開と「香り」という周辺領域への横展開を加速させている点は、中長期的なストーリーとして説得力があります。
  • 注目すべき変化: 長らく継続していた「Made by ZOZO」などの生産支援から撤退を決断したことは、経営の機動性を感じさせます。自社でリスクを取る製造から、プラットフォームとしての付加価値向上へ舵を切り直した形です。
  • 今後の焦点: 連結配当性向70%超という極めて高い株主還元は魅力ですが、これは裏を返せば「大規模な設備投資が不要なフェーズ」に入っていることも意味します。買収したLYST社が欧米の消費冷え込みを跳ね除け、黒字貢献を早期に実現できるかが、次の株価ステージの鍵を握るでしょう。