竹内製作所・2026年2月期第3四半期、売上高3.9%増の1,728億円——英・豪は好調も米国関税が利益下押し
売上高
1,728億円
+3.9%
通期予想
2,230億円
営業利益
314億円
-7.0%
通期予想
380億円
純利益
235億円
+0.4%
通期予想
264億円
営業利益率
18.2%
ミニショベル・クローラーローダーで世界的なシェアを誇る竹内製作所が発表した2026年2月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比 3.9%増 の 1,728億3,300万円 と増収を確保しました。一方で、営業利益は米国の関税コスト増加や販売施策の影響を受け、同 7.0%減 の 314億3,400万円 となりました。英国やオーストラリアでの好調な需要が売上を牽引する一方、主力の米国市場における関税影響の価格転嫁や競争環境の変化が利益面の重石となっています。
業績のポイント
当第3四半期の連結業績は、世界的な建設需要の二極化が鮮明となりました。売上高は前年同期を上回る 1,728億3,300万円(前年同期比 +3.9%)を記録した一方、営業利益は 314億3,400万円(同 -7.0%)と減益を余儀なくされています。経常利益については、円安に伴う為替差益を 14億5,000万円 計上したことで、328億8,400万円(同 +1.6%)と増益を確保しました。
利益を押し下げた最大の要因は、米国における追加関税の影響です。米国政府の関税政策により 25億1,100万円 のコスト増が発生し、価格転嫁を進めたものの、差引で 14億8,900万円 の利益減少要因となりました。さらに、米国市場での販売を底上げするための値引きや、利益率の低い大手レンタル会社向け販売比率の増加も採算を悪化させる要因となりました。
| 項目 | 2025年2月期 Q3 | 2026年2月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 166,403百万円 | 172,833百万円 | +3.9% |
| 営業利益 | 33,815百万円 | 31,434百万円 | △7.0% |
| 経常利益 | 32,373百万円 | 32,884百万円 | +1.6% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 23,384百万円 | 23,473百万円 | +0.4% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力市場である米国セグメントは、住宅ローン金利の高止まりによる住宅着工の調整局面が続いています。売上高は 987億2,100万円(前年同期比 +1.4%)と微増でしたが、ショベルの販売苦戦や関税コスト、大手レンタル会社への販売強化に伴う構成比変化により、セグメント利益は 61億6,000万円(同 -39.1%)と大幅に減少しました。
一方、英国セグメントは驚異的な回復を見せています。経済環境の低迷から底打ちし、前年に抑制されていた製品の入れ替え投資が活発化したことで、売上高は 140億800万円(同 +27.6%)、セグメント利益は 10億1,700万円(同 +261.0%)と飛躍的な成長を遂げました。
日本セグメントは、欧州のディストリビューター向け販売が好調だったことにより、売上高は 520億8,900万円(同 +5.2%)を確保しました。しかし、米国向けの出荷抑制に伴う生産調整が響き、セグメント利益は 224億5,800万円(同 -24.2%)に留まりました。フランスセグメントにおいても、不安定な政治情勢から投資意欲が減退し、減収減益となっています。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 52,089百万円 | +5.2% | 22,458百万円 | △24.2% |
| 米国 | 98,721百万円 | +1.4% | 6,160百万円 | △39.1% |
| 英国 | 14,008百万円 | +27.6% | 1,017百万円 | +261.0% |
| フランス | 8,007百万円 | △5.6% | 506百万円 | △30.3% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 521億円 | 30% | 225億円 | 43.1% |
| 米国 | 987億円 | 57% | 62億円 | 6.2% |
| 英国 | 140億円 | 8% | 10億円 | 7.3% |
| フランス | 80億円 | 5% | 5億円 | 6.3% |
財務状況と資本政策
財務体質は極めて強固な水準を維持しています。当第3四半期末の総資産は 2,151億7,400万円 と、前期末から 25億4,400万円 減少しました。これは米国市場向けの生産調整により、商品および製品などの棚卸資産が 123億7,400万円 減少したことが主な要因であり、キャッシュ効率の改善に向けた在庫圧縮が進展したことを示しています。
自己資本比率は前期末の 76.7% から 82.5% へとさらに上昇し、盤石な財務基盤を誇っています。株主還元については、期末配当を 210円(前期実績は200円)とする従来の予想を据え置きました。安定的な高配当を維持しつつ、第四次中期経営計画に掲げる売上高3,000億円の達成に向けた投資余力を十分に確保しています。
通期見通しとリスク要因
2026年2月期の通期連結業績予想については、前回発表の数値を据え置いています。売上高は前期比 4.6%増 の 2,230億円、営業利益は 2.3%増 の 380億円 を見込んでいます。第3四半期までの利益進捗率は営業利益で約 82.7% と堅調に推移しており、目標達成に向けた射程圏内にあります。
ただし、外部環境には不透明感が漂います。米国市場では慢性的な住宅不足という底堅い需要があるものの、高金利の継続や次期政権の通商政策(関税強化)への懸念が投資家の慎重姿勢を招いています。また、為替レートの変動もリスク要因であり、第4四半期以降の前提レート(1ドル=140円など)と実勢レートの乖離が業績に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 前回予想 | 2026年2月期 予想 | 前期実績(2025/2) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 223,000百万円 | 223,000百万円 | 213,222百万円 |
| 営業利益 | 38,000百万円 | 38,000百万円 | 37,131百万円 |
| 純利益 | 26,400百万円 | 26,400百万円 | 26,111百万円 |
| 1株当たり利益 | 571.44円 | 571.44円 | 549.12円 |
竹内製作所の決算は、世界的なニッチトップ企業としての「稼ぐ力」と、マクロ環境の変化による「外部コスト」のせめぎ合いが浮き彫りになりました。
注目すべきは、米国での関税コスト25億円のうち、約10億円を価格転嫁で吸収している点です。これは同社の製品が「高くても買いたい」という強いブランド力を持っている証左と言えます。
就活生や投資家が注目すべきは、以下の2点です。
- 在庫調整の完了: 米国での在庫圧縮が進んだことで、次期以降に再び生産を正常化させる準備が整いつつあること。
- 英国・豪州の急成長: 特定の地域(米国)に依存せず、欧州やアジア・オセアニアで市場を広げているポートフォリオの強さ。
今後は、米国の通商政策がさらに激化した場合の追加対策や、電池式ミニショベルなど次世代機種の市場浸透スピードが焦点となるでしょう。
