株式会社システナ の会社詳細
株式会社システナ
システナ
2026年3月期 第3四半期

システナ・2026年3月期Q3、純利益45.4%増の86億円——Win10更新需要と車載ソフト開発が牽引

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増収増益
Windows10特需
SDV
自動運転ソフト
生成AI
DX推進
増配
高財務健全性
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

701億円

+15.7%

通期予想

902億円

進捗率78%

営業利益

116億円

+32.7%

通期予想

145億円

進捗率80%

純利益

86億円

+45.4%

通期予想

104億円

進捗率83%

営業利益率

16.5%

ITコンサルティングおよびソフトウェア開発を手掛けるシステナが発表した2026年3月期第3四半期累計決算は、売上高が前年同期比 15.7%増700億6,300万円 、営業利益が 32.7%増115億6,300万円 と大幅な増収増益となった。2025年10月のWindows 10サポート終了に伴う特需を確実に取り込んだほか、自動車の知能化(SDV)を背景とした車載ソフト開発事業が利益を大きく押し上げた。収益構造を高利益率な「上流工程・PM(プロジェクト管理)」へシフトさせる構造改革が結実し、全ての利益項目で過去最高水準を更新している。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の業績は、売上・利益ともに前年を大きく上回る好決算となった。売上高は 700億6,300万円 (前年同期比 +15.7% )、営業利益は 115億6,300万円 (同 +32.7% )、親会社株主に帰属する四半期純利益は 86億300万円 (同 +45.4% )を記録した。増益率が売上成長率を大きく上回っており、収益性の高いビジネスモデルへの転換が着実に進んでいることを示している。

この好業績を支えた主因は、企業のIT投資意欲の回復と特定の市場イベントだ。特に「ビジネスソリューション事業」において、Windows 10のサポート終了に伴うPCリプレース案件が第3四半期にかけて大幅に増加したことが、全社的な増収増益の大きなエンジンとなった。また、同社が注力する「次世代モビリティ」や「生成AI」に関連する高付加価値な開発案件が伸長し、稼働率の向上とともに利益率が改善している。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

今期より実施したセグメント再編に基づき、各領域で専門性の高いサービスを展開している。特に成長を牽引したのが「ビジネスソリューション」と「次世代モビリティ」の両事業だ。

ビジネスソリューション事業は、売上高 267億7,700万円 (前年同期比 +27.6% )、営業利益 23億9,400万円 (同 +41.6% )と、全セグメントで最大の増収幅を記録した。Windows 10更新需要に加え、クラウドへの移行(リフト&シフト)やセキュリティ関連のシステム統合案件が堅調に推移し、利益への貢献度が飛躍的に高まっている。

次世代モビリティ事業は、売上高 54億7,600万円 (同 +38.9% )、営業利益 23億1,200万円 (同 +63.7% )と、極めて高い利益率を維持している。自動車業界におけるソフトウェア定義車両(SDV)化の加速により、国内主要自動車メーカーとの直接取引が順調に拡大した。最上流の企画・要件定義から一貫して支援できる体制が評価され、北米市場での案件創出も進展している。

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比
次世代モビリティ5,476百万円+38.9%2,312百万円+63.7%
PMデザイン11,597百万円△0.3%2,571百万円+41.0%
デジタルインテグレーション7,579百万円+17.2%1,867百万円+30.4%
IT&DXサービス16,548百万円+7.9%2,311百万円+13.0%
ビジネスソリューション26,777百万円+27.6%2,394百万円+41.6%
DX&ストック型ビジネス1,990百万円+4.0%150百万円△53.8%

「DX&ストック型ビジネス事業」については、自社プラットフォーム『Canbus.』の導入は好調なものの、将来の契約拡大に向けた開発機能の強化やサポート体制の拡充を優先した結果、先行投資負担により営業利益は 1億5,000万円 (同 △53.8% )と減益となった。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ビジネスソリューション事業268億円38%24億円8.9%
IT&DXサービス事業165億円24%23億円14.0%
プロジェクトマネジメントデザイン事業116億円17%26億円22.2%
デジタルインテグレーション事業76億円11%19億円24.6%
次世代モビリティ事業55億円8%23億円42.2%

財務状況と資本政策

財務基盤は一段と強化されており、自己資本比率は前期末の 62.7% から 69.0% へと 6.3ポイント上昇 した。総資産は前期末比 17億2,900万円増534億9,200万円 となり、利益の積み上げにより純資産が 373億7,200万円 に拡大している。流動資産のうち「現金及び預金」は 242億9,700万円 と潤沢であり、攻めの投資と安定した株主還元の両立が可能な水準を維持している。

キャッシュフロー面では、営業活動によるキャッシュ・フローが 76億1,900万円の収入 となり、前年同期(48億4,300万円)から大幅に改善した。これに対し、配当金の支払いに 43億300万円 を充てるなど、積極的な利益還元を実施している。通期の配当予想は1株当たり 13.00円 (前期実績12.00円から1円増配)を据え置いており、好調な業績を背景に株主への還元意欲を鮮明にしている。

通期見通しと成長戦略

2026年3月期の通期連結業績予想については、期初予想を据え置いた。売上高 902億円 (前期比 +7.9% )、営業利益 145億円 (同 +20.2% )を見込んでいる。第3四半期までの進捗率は営業利益ベースで 79.7% と順調であり、第4四半期に向けても安定した推移が期待される。

項目前回予想今回予想(修正なし)前期実績
売上高90,200百万円90,200百万円83,618百万円
営業利益14,500百万円14,500百万円12,063百万円
親会社株主に帰属する当期純利益10,360百万円10,360百万円8,476百万円

今後の注目は、さらなる高付加価値化への挑戦だ。同社は2026年1月に「AIデータセンター推進室」を新設し、急拡大する生成AI需要に伴うインフラ構築・運用支援の事業化を検討し始めた。従来の開発・保守にとどまらず、AI実装やデータ利活用を軸としたコンサルティング領域を拡大することで、景気変動に左右されにくい強固な収益基盤の構築を目指している。

リスクと課題

増収増益と好調な推移を見せている一方で、以下のリスクを挙げている。

  • 優秀なIT人材の確保: 成長を牽引するPMO案件や生成AI案件には高度な専門性が求められるため、即戦力となるシニア層や経験者の採用競争が課題となっている。
  • 外部環境の不透明感: 地政学リスクの長期化に伴うエネルギー価格の高止まりや、米国の新政権発足に伴う通商政策の変化、為替市場のボラティリティが企業のIT投資マインドに与える影響を注視している。
  • 特需の反動: Windows 10サポート終了に伴うPCリプレース需要は一時的な特需の側面もあり、来期以降の継続的な成長にはストック型ビジネスや新規領域での上積みが不可欠となる。
AIアナリストの視点

今回の決算は、システナが以前から掲げていた「利益率重視のビジネスモデル転換」が、Windows 10のリプレースという巨大な波を捉えて大きな成果を出した格好です。

特に注目すべきは、単なるハードウェアの入れ替えにとどまらず、それを機にクラウド移行やセキュリティ強化といった「ついで買い」ならぬ「付随するDX案件」をしっかりと受注できている点です。次世代モビリティ事業の利益率の高さ(約42%)も驚異的で、大手メーカーとの直接取引ルートを確保している強みが明確に数字に表れています。

今後の焦点は、2025年10月のサポート終了期限が過ぎた後の「特需の剥落」をどうカバーするかです。1月に新設した「AIデータセンター推進室」や、成長投資フェーズにある「DX&ストック型ビジネス」がどれだけ早く利益貢献を始められるかが、持続的な株価評価の鍵を握るでしょう。