リログループ・2026年3月期、売上・営業利益が過去最高を更新——新中計で配当性向50%へ大幅引き上げ、純利益は前期の売却益反動で52%減
売上高
1,511億円
+5.7%
通期予想
1,650億円
営業利益
308億円
+1.2%
通期予想
340億円
純利益
207億円
-52.3%
通期予想
225億円
営業利益率
20.4%
リログループが発表した2026年3月期の連結決算は、売上収益が前年同期比 5.7%増 の 1,510億7,400万円、営業利益が 1.2%増 の 308億1,500万円 となり、いずれも過去最高を更新しました。主力の福利厚生や社宅管理などのストック型ビジネスが堅調に推移した一方、親会社株主に帰属する当期利益は、前期に計上した持分法適用会社株式の売却益(約187億円)が剥落した影響で 52.3%減 の 206億6,500万円 となりました。同社は新たな中期経営計画を始動させ、配当性向を50%へ大幅に引き上げるなど、資本効率を重視する姿勢を鮮明にしています。
業績のポイント
当連結会計年度の業績は、企業の福利厚生アウトソーシング需要や社宅管理戸数の増加を背景に、本業の収益力を示す営業利益までが着実に伸長しました。売上収益は 1,510億7,400万円(前年比 +5.7%)、営業利益は 308億1,500万円(前年比 +1.2%)を記録しています。前年の営業利益率 21.3% に対し、今期は 20.4% とやや低下しましたが、これは将来の成長に向けた人材投資の拡充を優先した経営判断によるものです。
一方で、税引前利益および純利益が大幅な減益となった点には注意が必要です。これは、前期(2025年3月期)に持分法適用会社株式の公開買付けに伴う投資売却益として 187億円 を計上していた特殊要因によるもので、事業そのものの不調を示すものではありません。一過性の利益を除いたベースでは、主力事業のストック基盤が順調に積み上がっており、収益構造の安定性は一層高まっています。
| 項目 | 2025年3月期(実績) | 2026年3月期(実績) | 前期比 | 2027年3月期(予想) |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,429億円 | 1,510億円 | +5.7% | 1,650億円 |
| 営業利益 | 304億円 | 308億円 | +1.2% | 340億円 |
| 純利益 | 433億円 | 206億円 | △52.3% | 225億円 |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力の アウトソーシング事業 は、売上収益 807億6,900万円(前年比 +8.8%)、営業利益 228億9,900万円(前年比 +3.4%)と、増収増益を達成しました。深刻化する「労働力不足」を背景に、企業の福利厚生代行サービスへの需要が強く、新規会員の獲得が順調に進みました。また、借上社宅管理事業においても管理戸数が前期を上回り、管理手数料や転居支援サービスの利用が増加したことが収益を押し上げました。
賃貸管理事業 は、売上収益 529億5,600万円(前年比 +2.3%)となりましたが、営業利益は 80億1,200万円(前年比 1.9%減)と微減を記録しました。管理戸数の積み上げによりストック収益は拡大したものの、中長期的な競争力強化を目的とした人材採用や人件費の増加といった戦略的投資が先行した形です。これにより、目先の利益を削ってでも将来のシェア拡大を狙う姿勢を明確にしています。
観光事業 は、売上収益 163億9,900万円(前年比 +4.0%)、営業利益 43億44百万円(前年比 +3.5%)と堅調に推移しました。インバウンド需要の回復と国内旅行需要の底堅さを背景に、運営ホテルの稼働率が高水準で推移しました。また、別荘のタイムシェア事業において利用料収入が増加したほか、新規開業施設の収益貢献も増益に寄与しています。
| セグメント名 | 売上収益 | 前年比 | 営業利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| アウトソーシング | 807億円 | +8.8% | 228億円 | +3.4% |
| 賃貸管理 | 529億円 | +2.3% | 80億円 | △1.9% |
| 観光 | 163億円 | +4.0% | 43億円 | +3.5% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| アウトソーシング事業 | 808億円 | 54% | 229億円 | 28.4% |
| 賃貸管理事業 | 530億円 | 35% | 80億円 | 15.1% |
| 観光事業 | 164億円 | 11% | 43億円 | 26.5% |
財務状況と資本政策
当期末の総資産は前期末比で 211億1,100万円 増加し、3,242億8,800万円 となりました。利益の蓄積により親会社の所有者に帰属する持分(純資産)は 845億6,800万円 に増加し、自己資本比率に相当する親会社所有者帰属持分比率は、前期の 22.5% から 26.1% へと改善しています。財務体質の強化が進む中、同社は攻めの資本政策へと舵を切りました。
特筆すべきは、株主還元の大幅な強化です。2026年3月期の年間配当金は、前期の42円から大幅増配となる 69円 を実施しました。これは、新たに策定した中期経営計画「第四次オリンピック作戦」において、連結配当性向を50%へ引き上げる方針を決定したためです。さらに、自己株式の取得を含む総還元性向60%を目安とする方針も新たに導入し、資本効率(ROE)の目標を従来の20%以上から 25〜30% へと上方修正しました。投資家に対して、収益の還元と資本効率の向上をセットで約束する強い意志を示しています。
リスクと課題
好調な業績の一方で、経営陣はいくつかの外部環境リスクを注視しています。特に「労働力不足」は同社にとって事業機会であると同時に、自社のコスト増加要因(採用・人件費)となる二面性のリスクを抱えています。賃貸管理事業で見られたような利益率の低下を防ぐため、DX化による生産性向上が不可欠な課題となっています。
また、重要な後発事象として 2027年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(CB) の買入れ・消却を決議しました。これは将来的な株式の希薄化リスクを低減し、1株当たり価値の向上を図るための施策です。金利上昇局面や資本コストを意識した経営が求められる中、負債と資本の最適バランスをいかに維持するかが、今後の持続的な株価上昇の鍵を握ることになります。
通期見通し
2027年3月期の通期連結業績予想は、売上・各利益ともにさらなる成長を見込んでいます。売上収益は 1,650億円(前期比 +9.2%)、営業利益は 340億円(前期比 +10.3%)と、2桁成長の軌道へ戻る計画です。新中計の初年度として、福利厚生および社宅管理のストックビジネスをさらに深掘りするとともに、海外赴任支援事業の収益積み上げを加速させます。配当についても、配当性向50.5%に基づき年間 75円 へのさらなる増配を予定しています。
| 項目 | 2026年3月期(実績) | 2027年3月期(予想) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,510億円 | 1,650億円 | +9.2% |
| 営業利益 | 308億円 | 340億円 | +10.3% |
| 純利益 | 206億円 | 225億円 | +8.9% |
今回の決算で最も注目すべきは、営業利益ベースでの過去最高更新という実力の証明と、それを背景にしたドラスティックな株主還元方針の変更です。
- 純利益のマイナス52%という数字は、前期の「特殊な売却益」を除けば実質的には成長しており、投資家が懸念する必要はありません。
- むしろ、配当性向を10%台から一気に50%へと引き上げたことは、同社が「高成長・低還元」から「高成長・高還元」のフェーズへ移行したことを示唆しています。
- ROE目標を25〜30%という日本企業でもトップクラスの水準に設定したことは、就職活動中の学生にとっても、非常に効率的かつシビアに収益を追求する企業文化であることを理解する指標となるでしょう。
- 懸念点としては、賃貸管理で見られた「売上増・利益減」の構図です。人材投資がいつ利益として回収期に入るのか、次期Q1以降の利益率回復が焦点となります。
