ソフトバンクグループ株式会社 の会社詳細
ソフトバンクグループ株式会社
ソフトバンクグループ
2026年3月期 第3四半期

ソフトバンクG・2026年3月期Q3、純利益5倍の3.1兆円——OpenAI評価益が爆発的に寄与、AI事業を新設

ソフトバンクグループ
9984
OpenAI
増収増益
ビジョン・ファンド
AIコンピューティング
株式分割
Arm
Ampere
評価益
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

5.7兆円

+7.9%

営業利益

4.2兆円

+228.0%

純利益

3.2兆円

+398.7%

営業利益率

72.9%

ソフトバンクグループが12日に発表した2026年3月期第3四半期決算は、親会社の所有者に帰属する純利益が前年同期比398.7%増3兆1,727億円と、前年同期から約5倍に拡大した。世界的なAI(人工知能)投資の熱狂を背景に、OpenAIへの追加出資に伴う評価益が利益を大きく押し上げた。また、同社は半導体設計の米アンペア社を完全子会社化し、新たに「AIコンピューティング事業」を立ち上げるなど、投資会社から「AIを軸とした事業持ち株会社」への進化を加速させている。

ソフトバンクG・2026年3月期Q3、純利益5倍の3.1兆円——OpenAI評価益が爆発的に寄与、AI事業を新設

業績のポイント

今四半期累計の業績は、売上高が前年同期比7.9%増5兆7,192億円、税引前利益が同228.0%増4兆1,691億円と、極めて力強い成長を記録した。増益の最大要因は、投資利益が4兆2,203億円(前年同期は2兆1,700億円)へと倍増したことにある。特にOpenAIへの出資に係る投資利益が2兆7,965億円に達し、グループ全体の収益を牽引する格好となった。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)事業も劇的な回復を見せ、セグメント利益は3兆5,637億円と前年同期の赤字から黒字に転換した。これは、保有する公開投資先の株価上昇に加え、未公開企業についても公正価値が再評価されたことによる。同社はNVIDIA株式を58.3億米ドルで全売却するなど、好機を逃さない資産の資金化も並行して進めている。

指標2025年3月期 Q3実績2026年3月期 Q3実績前年同期比
売上高5兆3,025億円5兆7,192億円+7.9%
税引前利益1兆2,709億円4兆1,691億円+228.0%
純利益(親会社帰属)6,361億円3兆1,726億円+398.7%
基本的1株当たり利益106.68円553.47円+418.8%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計

セグメント別動向

今期より新設された「AIコンピューティング事業」は、半導体設計大手のArmに加え、買収したAmpere Computing、Graphcoreを集約した注目のセグメントである。売上高は4,362億円(米ドルベースで前年同期比9.5%増)を確保したが、次世代技術開発に向けた人員増強や買収関連費用が嵩み、918億円のセグメント損失を計上した(前年同期は236億円の損失)。Armのロイヤルティ収入が「Armv9」の普及により約2倍の単価を実現するなど、成長の芽は着実に育っている。

ビジョン・ファンド(SVF)事業は、SVF2によるOpenAI出資の成功が鮮明となった。SVF1が7,350億円、SVF2が2兆7,371億円の投資利益をそれぞれ計上している。特にSVF2はOpenAIに対し累計で346億米ドルを投じ、持分比率は約11%に達した。投資銘柄数もSVF全体で300社を超え、AIインフラへの集中投資が利益に直結し始めている。

国内通信を担うソフトバンク事業は、スマートフォン契約数の増加やPayPayの決済取扱高拡大により、セグメント利益は同10.8%増8,468億円と堅実な増益を達成した。従来の「モバイル中心」から、クラウドサービスやフィナンシャル事業を組み合わせた「Beyond Carrier」戦略が奏功している。メディア・EC事業(LINEヤフー)での子会社化に伴う再測定益も利益に貢献した。

セグメント名称売上高(億円)セグメント利益(億円)特記事項
持株会社投資事業-899NVIDIA売却益、OpenAIフォワード契約益
SVF事業-35,637OpenAI評価益が最大要因
ソフトバンク事業51,9608,468モバイル・PayPayが好調
AIコンピューティング4,362918Armv9普及、R&D投資を強化
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ソフトバンク事業5.2兆円91%8,468億円16.3%
AIコンピューティング事業4,362億円8%-91,830百万円-21.1%
持株会社投資事業-89,999百万円
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業3.6兆円

財務状況と資本政策

総資産は前期末比で約10兆円増加し、55兆5,573億円に膨らんだ。これは投資有価証券の公正価値上昇に加え、積極的な買収や出資に伴うのれんや現金の増加が影響している。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は28.1%となり、前期末の25.7%から2.4ポイント改善した。財務の健全性を維持しつつ、大型投資に備える姿勢が伺える。

資金調達面では、OpenAIへの出資やAmpere買収に対応するため、総額150億米ドルのブリッジローンを組成するなど機動的な動きを見せている。一方で、国内ハイブリッド社債2,000億円の発行や、Tモバイル株式の一部売却を通じた資金化も進めており、LTV(純有利子負債/保有株式価値)の管理には細心の注意を払っている。債務のリファイナンスも概ね完了しており、資金繰りに懸念はない。

株主還元については、2026年1月1日付で1株につき4株の割合で株式分割を実施した。これにより、個人投資家が投資しやすい環境を整え、投資家層のさらなる拡大を狙っている。期末配当は分割後ベースで5.50円(分割前換算で22円)を予想しており、年間配当は実質維持となる見通しだ。また、過去に決議した自己株式取得も着実に実行されている。

リスクと課題

同社が直面する最大のリスクは、AI市場の過熱によるバリュエーションの変動である。現在、OpenAIなどの公正価値上昇が利益の源泉となっているが、市場環境が冷え込めば一転して多額の評価損を被る可能性がある。また、米連邦準備制度(FRB)の金融政策に伴う為替レートの変動も、外貨建資産が多い同社にとって純利益を大きく左右する要因となる。

  • AI投資競争の激化: 巨大テック企業との投資競争により、優良案件の取得コストが上昇するリスク。
  • R&D費用の負担: 新設のAIコンピューティング事業において、ArmやAmpereの技術優位性を維持するための研究開発費が利益を圧迫する可能性。
  • 地政学リスク: 保有資産の大部分が米国およびグローバル市場に依存しており、米中貿易摩擦などの影響を直接的に受けやすい。
  • 業績予想の非開示: 「未確定な要素が多い」として通期予想を公表していない点は、一部の投資家にとって不透明感として意識される可能性がある。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も驚くべきは、ソフトバンクGが「投資会社」の枠を越え、自らAIインフラを構築する「事業会社」としての顔を強く打ち出してきた点です。

特に、OpenAIへの346億米ドルという巨額出資と、それによって得られた3兆円規模の利益は、孫正義会長の「AIへの全振り」が数字として証明された形と言えます。一方で、新セグメント「AIコンピューティング事業」が現状赤字であることは、先行投資のフェーズにあることを示唆しています。

注目すべきは、かつての主力だったアリババ株式の決済が完了し、ポートフォリオが完全に「ポスト・アリババ」すなわち「AI・半導体」へ移行したことです。就活生にとっては、同社がもはや単なる投資会社ではなく、世界最先端のAIエコシステムを自ら作り上げるプラットフォーマーへの変革期にあることを理解しておくことが重要でしょう。