四国電力株式会社 の会社詳細
四国電力株式会社
四国電力
2026年3月期 第3四半期

四国電力・2026年3月期Q3、売上高9.2%減も営業利益は前年並みを確保――伊方原発の稼働増が寄与、年間配当は10円増配の50円へ

四国電力
インフラ
増配
原子力発電
伊方発電所
燃料費調整制度
自己資本比率
安定収益
電力業界
株主還元
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

5,610億円

-9.2%

通期予想

7,700億円

進捗率73%

営業利益

653億円

+0.0%

通期予想

685億円

進捗率95%

純利益

482億円

-2.7%

通期予想

520億円

進捗率93%

営業利益率

11.6%

四国電力が発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 9.2%減5,610億円 となった一方、営業利益は 653億円 (前年同期は 653億円 )と前年並みの水準を維持しました。燃料価格の下落に伴う燃料費調整制度の影響で減収となりましたが、伊方発電所3号機の稼働日数増加や人件費の減少が利益を下支えしました。また、好調な財務基盤を背景に、年間配当は前期比10円増の 50円 を計画しており、株主還元を強化する姿勢を鮮明にしています。

業績のポイント

当第3四半期の業績は、燃料価格の変動が売上高を押し下げる一方で、電力供給の構造変化が利益を支える展開となりました。売上高は 5,610億円 (前年同期比 △9.2% )と大きく減少しましたが、これは燃料費調整額の減少や、卸販売における容量確保契約金額の減少が主因です。燃料価格の下落は利用者にとっては電気料金の引き下げ要因となりますが、電力会社にとっては会計上の売上減少として現れます。

一方で、利益面では底堅さが目立ちました。営業利益は 653億円 (同 0.0% )と前年同期とほぼ同水準を確保し、親会社株主に帰属する四半期純利益は 482億円 (同 △2.7% )となりました。伊方発電所3号機の稼働日数が前年を上回ったことで、コストの高い火力発電を抑制できたことが大きなプラス要因です。さらに、退職給付に係る数理計算上の差異償却が進んだことで人件費が 72億円 減少したことも、増益要因として寄与しました。

項目2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上高6,179億円5,610億円△9.2%
営業利益653億円653億円0.0%
経常利益673億円653億円△3.0%
四半期純利益495億円482億円△2.7%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力の電気事業は、需給両面で大きな動きがありました。発電・販売事業においては、小売販売電力量が契約電力の増加を背景に 2.0%増168.9億kWh と堅調に推移しました。しかし、収益面では燃料費調整額の減少が響き、セグメント売上高は 4,656億円 、セグメント利益は 378億円 となりました。供給面では、伊方発電所3号機の利用率が前年同期の68%から73%へ上昇したことが、自社火力発電量の抑制( 5.1%減 )に繋がり、燃料費の削減に大きく貢献しました。

送配電事業については、託送収益の変動などにより売上高は 1,706億円 、セグメント利益は 95億円 となりました。また、情報通信事業やエネルギー事業などの多角化部門も安定した収益を維持しています。特に情報通信事業は、法人向けソリューションや個人向けインターネット接続サービスの拡大により、セグメント利益 88億円 (前年同期比 +7.6% )を計上し、グループ全体の利益水準を下支えする重要な柱となっています。

セグメント売上高セグメント利益備考
電気(発電・販売)4,656億円378億円原発稼働増、燃料費減
電気(送配電)1,706億円95億円安定的な託送需要
情報通信384億円88億円ITサービス堅調
エネルギー194億円39億円燃料販売・ガス事業等
建設・エンジ382億円25億円電力設備保守等
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
電気事業(発電・販売)4,657億円83%378億円8.1%
電気事業(送配電)1,706億円30%96億円5.6%
情報通信事業385億円7%88億円22.9%

財務状況と資本政策

財務体質の改善と株主還元の強化が同時に進んでいます。総資産は、事業用資産の増加などにより前年度末比 284億円 増の 1兆7,158億円 となりました。自己資本比率は 27.2% と、前年度末の 26.0% から 1.2ポイント向上 しており、大規模な設備投資や燃料価格の急騰といった外部ショックに対する耐性が一段と高まっています。

特筆すべきは配当政策の変更です。同社は当期の年間配当予想を、前期の40円から10円増配となる 50円 (中間25円、期末25円)としています。これは、伊方原発の安定稼働による収益基盤の確立と、財務健全化が一定の目途に達したという経営判断の表れといえます。投資家にとっては、インフラ企業としての安定性に加え、増配による還元利回りの向上が魅力的な材料となっています。

リスクと課題

順調な決算の一方で、いくつかの不透明な外部要因が課題として挙げられています。

  • 気象条件の影響: 当第3四半期は出水率が 90% と、前年同期の 105% を大きく下回りました。水力発電量の減少( 24.1%減 )は、その不足分を火力発電や市場調達で補う必要があるため、コスト増要因となります。
  • 燃料価格・為替の変動: 燃料費調整制度により一定のタイムラグを経て転嫁されるものの、急激な円安や化石燃料価格の高騰は、キャッシュフローや短期的な利益を圧迫するリスクがあります。
  • 原子力発電所の安定運転: 利益の源泉となっている伊方発電所3号機の継続的な安定運転が、通期業績達成の絶対条件となります。定期検査や予期せぬ停止が発生した場合、業績へのインパクトは甚大です。
  • カーボンニュートラルへの対応: 再生可能エネルギーの導入拡大や非効率火力の削減など、長期的な設備投資負担と電源構成の変革が求められています。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想については、売上高 7,700億円 、営業利益 685億円 を据え置いています。前期(2025年3月期)が燃料価格高騰後の揺り戻しで過去最高水準の利益を記録したため、前年比では大幅な減益(営業利益 23.1%減 )に見えますが、これは異常な追い風が収まった「巡航速度への回帰」と捉えるべきでしょう。通期での1株当たり純利益は 253.00円 を見込んでおり、配当性向を考慮しても十分な利益水準を維持する見通しです。

項目前期実績(FY24)今期予想(FY25)増減率
売上高8,518億円7,700億円△9.6%
営業利益891億円68,500百万円△23.1%
経常利益916億円68,000百万円△25.8%
当期純利益683億円52,000百万円△23.9%
AIアナリストの視点

四国電力の今回の決算は、表面的な「減収」という数字以上に、収益構造の健全化が際立つ内容でした。

注目すべきは、燃料価格下落という外部要因による減収を、伊方原発の稼働率向上という内部努力(オペレーションの安定)で相殺し、実質的な利益水準を維持している点です。電力業界において、原発の稼働は「最強のコストダウン施策」であり、それが機能していることが今期の強みです。

  • 就活生への視点: 「電力=古い」というイメージがあるかもしれませんが、情報通信事業の利益貢献度が高い点に注目です。インフラ基盤を持ちつつ、ITソリューションで稼ぐ多角化戦略は、地方電力会社としての生き残り策として評価できます。
  • 投資家への視点: 自己資本比率が27%台まで回復し、10円の増配に踏み切ったことは大きなポジティブサプライズです。前期のような「特需的な利益」ではなく、原発稼働を前提とした「実力値での還元」が始まったといえます。

今後は、カーボンニュートラル投資に伴う借入金増加と、金利上昇局面での利払い負担のバランスが長期的な焦点になるでしょう。