ルネサス・2025年12月期通期、最終損益517億円の赤字——投資先の損失響くも本業は堅調、大型買収で攻めの姿勢
売上高
1.3兆円
-2.0%
営業利益
2,012億円
-9.8%
純利益
-51,763百万円
営業利益率
15.2%
売上高は 1兆3,212億円 (前年比 2.0%減 )となりました。投資先である米ウルフスピード社の再建に伴う損失 2,366億円 が出たため、最終損益は赤字に転落しました。一方で 営業利益率は15.2% を維持しており、本業の稼ぐ力は保たれています。
業績のポイント
売上収益は 1兆3,212億円 (前年比 2.0%減 )でした。
営業利益は 2,011億円 (前年比 9.8%減 )となっています。
- 自動車向けの需要が弱まり、売上が前年を 9.0%下回った ことが響きました。
- 一方で、インフラ向けの需要は強く、産業・IoT分野は 5.5%増 と伸びています。
- 最終的な利益が赤字なのは、投資先の経営不安による一過性の損失が出たためです。
- 本業の儲けを示すNon-GAAP営業利益率は 29.3% と、依然として高い水準です。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- 自動車向け事業: 売上収益 6,397億円 (前年比 9.0%減 )
市場が冷え込み、工場の稼働率が下がったことで利益も減りました。
- 産業・インフラ・IoT向け事業: 売上収益 6,718億円 (前年比 5.5%増 )
データセンターなどのインフラ投資が活発で、売上を伸ばしました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車向け事業(Non-GAAP) | 6,397億円 | 49% | 1,966億円 | 30.7% |
| 産業・インフラ・IoT向け事業(Non-GAAP) | 6,718億円 | 51% | 1,694億円 | 25.2% |
財務状況と資本政策
- 総資産は 4兆1,771億円 となり、前年から 3,132億円 減りました。
- 無形資産の償却が進んだことや、投資先の評価損が出たことが主な理由です。
- 期末配当は1株あたり 28円 を予定しており、前年と同額を維持します。
- 借入金の返済を進め、財務の健全性を示すD/Eレシオは 0.50倍 に改善しました。
リスクと課題
- 半導体市場の変化: 需要が短期間で大きく変わるため、正確な予想が難しい状況です。
- 為替変動: 海外売上比率が高いため、円高が進むと利益が減る恐れがあります。
- 買収企業の統合: アルティウム社などの大型買収を収益につなげられるかが焦点です。
戦略トピック
- 大型買収の完了: ソフトウェア企業である アルティウム社 の買収を終えました。
- 事業の選択と集中: 2026年末までに、タイミング事業を米サイタイム社へ売却します。
- これにより、約 2,340億円 の売却益が出る見込みで、さらなる成長投資に回します。
通期見通し
2026年12月期 第1四半期の売上収益は 3,675億円〜3,825億円 を見込んでいます。
これは前年の同じ時期と比べて 19.0%〜23.9%増 という強気の予想です。
自動車向けの在庫調整が落ち着き、成長軌道に戻ることを見越しています。
今回の決算は、表面上の「最終赤字」という数字に惑わされないことが重要です。
赤字の主因は米Wolfspeed社に関連する一過性の評価損であり、キャッシュの流出を伴わない会計上の処理です。投資家が重視するNon-GAAPベースの営業利益率は 29.3% と極めて高く、同業他社と比較しても 世界トップクラスの収益性 を維持しています。
注目すべきは「ハードからソフトへ」の戦略転換です。アルティウム社の買収により、半導体単体ではなく、設計ソフトウェアを含めたソリューション提供へと舵を切っています。また、好採算だったタイミング事業をあえて売却し、次なる成長分野へ資金を投じる判断からは、柴田CEOの強い意志が感じられます。
就活生にとっては、単なる「半導体メーカー」から「デジタルプラットフォーム企業」へと進化しようとしている同社のダイナミズムは、非常に魅力的なポイントと言えるでしょう。
