メイコー・2026年3月期、売上高・利益ともに過去最高を更新——AIサーバー・車載向け好調、次期は33%増収の強気予想
売上高
2,406億円
+16.3%
通期予想
3,200億円
営業利益
246億円
+28.8%
通期予想
380億円
純利益
198億円
+32.5%
通期予想
270億円
営業利益率
10.2%
電子回路基板大手のメイコーが13日に発表した2026年3月期通期決算は、売上高・各段階利益ともに過去最高を更新する大幅な増収増益となりました。AIサーバーを中心としたデータセンター向けや、高機能化が進む車載向け基板が業績を強力に牽引し、営業利益は前期比 28.8%増 の 245億7,200万円 に達しました。同社は次期の業績予想についても、ベトナム新工場の稼働や買収効果を背景に、売上高 3,200億円(前期比 33.0%増)という極めて強気な見通しを公表しています。
業績のポイント
当連結会計年度の業績は、売上高が 2,405億7,400万円(前期比 16.3%増)、純利益が 197億8,200万円(同 32.5%増)と、主力事業が軒並み好調に推移しました。電子部品業界全体では地政学リスクや不透明な経済状況が続いていますが、同社はAIサーバーや自動運転といった成長分野の需要を的確に取り込むことで、外部環境の逆風を跳ね返しました。
利益面では、資源価格高騰の影響を受けたものの、付加価値の高い「ビルドアップ基板」の構成比が大幅に高まったことが利益率を押し上げました。また、旺盛な需要を背景に工場の稼働率が向上し、生産性改善が進んだことも過去最高益の更新に寄与しています。1株当たり当期純利益は 758円59銭 となり、前期の569円47銭から大幅に伸長しました。
| 項目 | 2025年3月期実績 | 2026年3月期実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,068億円 | 2,405億円 | +16.3% |
| 営業利益 | 190億円 | 245億円 | +28.8% |
| 経常利益 | 187億円 | 264億円 | +41.2% |
| 親会社株主帰属純利益 | 149億円 | 197億円 | +32.5% |
業績推移(通期)
製品別動向(電子関連事業)
同社は電子回路基板の設計・製造販売を主軸とする単一セグメントですが、製品カテゴリー別では車載向けと情報通信向けが目覚ましい成長を見せました。車載向け基板は、電気自動車(EV)シフトのペースに変動はあるものの、自動運転(AD)や運転支援システム(ADAS)の高度化に伴う基板の多層化・高精細化が追い風となり、新規顧客への販売が拡大しました。
情報通信分野では、AIサーバー向け基板がデータセンター需要の爆発的な拡大を受けて好調に推移しました。加えて、低軌道衛星通信向けなどの特殊な基板需要が大きく増加したことも収益を支えています。スマートフォン・タブレット向けについても、ハイエンドモデルへのシフトが進んだことで、ビルドアップ基板を中心に堅調な推移を見せました。
| カテゴリー | 概況 | 主な要因 |
|---|---|---|
| 車載向け | 拡大 | 自動運転・運転支援システムの需要増、新規顧客の獲得 |
| 情報通信向け | 大幅増 | AIサーバー、データセンター、衛星通信向けの急増 |
| スマホ・タブレット | 堅調 | ハイエンドモデル向け高付加価値基板の増加 |
| モジュール基板 | 好調 | SSD向けおよび通信モジュール向けの需要増 |
戦略トピック:ベトナム投資と事業買収
メイコーは将来の成長を確実にするため、生産能力の増強と事業領域の拡大に向けた攻めの投資を加速させています。次期の業績予想に大きな影響を与える要因として、これまで投資を続けてきたベトナムの「第4工場」および「ホアビン工場」の本格稼働が挙げられます。同社はさらに、ベトナム・フート省に新子会社「Meiko Electronics Yen Quang Co., Ltd.」を設立(2026年4月)し、ASEAN地域での供給体制をさらに強固にする方針です。
また、2026年6月には、FCLコンポーネント株式会社のEMS(電子機器受託製造サービス)事業の買収を予定しています。この買収により、単なる基板単体の製造にとどまらず、キーボードやタッチパネル、車載電装ユニットといった完成品に近いデバイスの開発・設計から製造までを一貫して手掛ける体制を構築します。これにより、顧客への提案力を高め、高収益体質への転換を一段と進める狙いです。
財務状況と資本政策
当期末の総資産は 3,352億9,100万円 となり、前期末から 789億2,500万円 増加しました。これは主にベトナムでの工場建設等に伴う有形固定資産の増加(前期比 453億円増)によるものです。積極的な設備投資を継続しながらも、自己資本比率は 40.6% を維持しており、成長投資と財務の健全性のバランスを保っています。
株主還元については、好調な業績を背景に大幅な増配を決定しました。2026年3月期の年間配当は、前期実績の88円から27円増配となる 115円 を実施。さらに、次期(2027年3月期)の配当予想については、1株当たり年間 160円 とさらなる増額を見込んでいます。これは、持続的な利益成長への自信と、株主への積極的な還元姿勢を示す経営判断といえます。
通期見通しとリスク要因
2027年3月期の連結業績予想は、売上高 3,200億円(前期比 33.0%増)、営業利益 380億円(同 54.6%増)と、過去最高を大幅に塗り替える計画です。ベトナム新工場の寄与に加え、AI関連需要のさらなる拡大を見込んでいます。一方で、中東情勢の緊迫化や地政学的緊張、各国の貿易政策の変更など、サプライチェーンを揺るがす外部リスクには引き続き警戒が必要としています。
| 指標 | 2026/3実績 | 2027/3予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,405億円 | 3,200億円 | +33.0% |
| 営業利益 | 245億円 | 380億円 | +54.6% |
| 純利益 | 197億円 | 270億円 | +36.5% |
メイコーの決算は、電子部品セクターの中でも際立って力強い内容です。特に注目すべきは、単なる「需要回復」ではなく、AIサーバーや衛星通信、自動運転といった次世代の技術トレンドに、同社の高付加価値基板がクリティカルに適合している点にあります。
これまでの大規模なベトナム投資が、ちょうど世界的なAIインフラ投資の波と重なる形で収益化のフェーズに入っています。次期の「3,200億円」という野心的な売上目標は、FCLコンポーネントからの事業譲受による連結効果も含まれますが、それを差し引いてもオーガニックな成長力が極めて高いと評価できます。
- 懸念点としては、急速な事業拡大に伴う有利子負債の増加と、ベトナムへの生産集中によるカントリーリスクが挙げられます。しかし、今回の決算で示された高いキャッシュ創出力(営業CF 275億円)を維持できるのであれば、投資回収は順調に進むと考えられます。投資家・就活生双方にとって、同社の「基板メーカーから総合デバイスソリューション企業への進化」は、今後の最注目トピックとなるでしょう。
