コナミG・2026年3月期Q3、純利益17.8%増の743億円——主力ゲーム好調で過去最高を更新、通期予想と配当を上方修正
売上高
3,530億円
+13.6%
通期予想
4,680億円
営業利益
1,018億円
+17.4%
通期予想
1,230億円
純利益
743億円
+17.8%
通期予想
860億円
営業利益率
28.8%
コナミグループが29日に発表した2026年3月期第3四半期(2025年4〜12月)の連結決算(IFRS)は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が前年同期比 17.8%増 の 743億4,700万円 となった。主力タイトルの「eFootball™」や「桃太郎電鉄」最新作が業績を牽引し、売上高および各利益項目で 2期連続の過去最高を更新 した。これに伴い、同社は通期の業績予想と配当計画を上方修正し、市場の期待を上回る力強い進捗を示している。
業績のポイント
当第3四半期累計期間の売上高は、前年同期比 13.6%増 の 3,530億2,000万円 と大幅な増収を記録した。本業の儲けを示す事業利益は同 16.8%増 の 1,018億1,700万円、営業利益は同 17.4%増 の 1,017億8,800万円 に到達している。国内では雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復が続く一方、海外での主力コンテンツの継続的なアップデートとファン層の拡大が奏功し、収益基盤が一段と強化された。
利益面での過去最高更新を支えたのは、デジタルエンタテインメント事業を中心とする高付加価値なサービス展開だ。販管費を適切にコントロールしつつ、既存IP(知的財産)の価値を最大化する戦略が実を結んだ。税引前利益は同 18.3%増 の 1,050億4,200万円 となり、増収増益のトレンドを確固たるものにしている。
| 指標 | 2025年3月期 Q3 | 2026年3月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,108億円 | 3,530億円 | +13.6% |
| 事業利益 | 871億円 | 1,018億円 | +16.8% |
| 営業利益 | 867億円 | 1,018億円 | +17.4% |
| 四半期利益 | 631億円 | 743億円 | +17.8% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
屋台骨であるデジタルエンタテインメント事業は、売上高 2,661億7,500万円(前年同期比 +16.3%)、事業利益 964億7,900万円(同 +19.4%)と極めて好調に推移した。世界的人気を誇るサッカーゲーム「eFootball™」が継続的な改善により高い支持を維持したほか、「桃太郎電鉄2」の発売や「プロ野球スピリッツA」の10周年施策などが利益を押し上げた。eスポーツへの積極投資もブランド力向上に寄与し、ユーザー層の多様化が進んでいる。
今期から独立した報告セグメントとなったアーケードゲーム事業も、売上高 164億7,500万円(前年同期比 +12.6%)、事業利益 35億7,800万円(同 +10.1%)と着実な成長を見せた。国内経済の緩やかな改善を背景に、アミューズメント施設向けの新筐体「pop'n music」やカードプリントゲームが好調に稼働。大人気アニメ「鬼滅の刃」を活用した新タイトルの発表など、新規顧客の獲得に向けた積極的な施策が功を奏している。
一方で、ゲーミング&システム事業は売上高 287億800万円(前年同期比 5.7%減)、事業利益 18億2,100万円(同 61.4%減)と苦戦を強いられた。北米や豪州のカジノ市場自体は堅調だが、米国による 関税措置の影響や新筐体の発売を控えた買い控え が一時的な重石となった。中長期的にはアラブ首長国連邦(UAE)でのゲーミングライセンス取得など、新たな市場開拓による回復を目指している。
スポーツ事業は、売上高 372億5,200万円(前年同期比 +2.3%)、事業利益 27億4,900万円(同 +46.4%)と大幅な増益を達成した。健康意識の高まりを受け、マシンピラティススタジオ「Pilates Mirror」を全国81店舗まで拡大するなど、新業態が順調に浸透している。また、自治体からのスポーツ施設運営受託や学校の水泳授業受託など、資産を持たないネットワーク拡大戦略が収益性の向上に直結した。
| セグメント | 売上高 | 前年比 | 事業利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| デジタルエンタテインメント | 2,662億円 | +16.3% | 965億円 | 36.2% |
| アーケードゲーム | 165億円 | +12.6% | 36億円 | 21.7% |
| ゲーミング&システム | 287億円 | △5.7% | 18億円 | 6.3% |
| スポーツ | 373億円 | +2.3% | 27億円 | 7.4% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| デジタルエンタテインメント事業 | 2,662億円 | 75% | 965億円 | 36.2% |
| アーケードゲーム事業 | 165億円 | 5% | 36億円 | 21.7% |
| ゲーミング&システム事業 | 287億円 | 8% | 18億円 | 6.3% |
| スポーツ事業 | 373億円 | 11% | 27億円 | 7.4% |
財務状況と資本政策
当第3四半期末の総資産は、前連結会計年度末比で 457億5,600万円 増加し、7,107億9,600万円 となった。新拠点「コナミクリエイティブフロント東京ベイ」の建設に伴う有形固定資産の増加が主因だ。負債合計は社債や借入金の返済により 91億8,900万円 減少しており、健全な財務体質を維持している。
自己資本の充実に伴い、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の 72.5% から 75.5% へと上昇 した。利益の積み上げにより、資本合計は 5,368億1,300万円 にまで拡大している。強固な財務基盤を背景に、成長投資と株主還元の両立を推進する構えだ。
株主還元については、業績の好調を反映して配当予想を上方修正した。期末配当は前回予想から8円引き上げ、1株当たり 107.50円 とした。これにより年間配当金は 190.50円(前期実績 165.50円)となり、積極的な利益還元の姿勢を鮮明にしている。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想について、全項目で前回予想を上方修正した。主力タイトルの「eFootball™」等が想定を上回る進捗を見せているため、売上高を前回予想から 380億円 上積みの 4,680億円 とした。利益面でも、効率的な運営と高収益タイトルの寄与により、純利益は前回予想比 110億円増 の 860億円 を見込む。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 | 修正比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,300億円 | 4,680億円 | 4,216億円 | +8.8% |
| 事業利益 | 1,140億円 | 1,310億円 | 1,091億円 | +14.9% |
| 営業利益 | 1,060億円 | 1,230億円 | 1,019億円 | +16.0% |
| 当期利益 | 750億円 | 860億円 | 747億円 | +14.7% |
リスクと課題
今後の懸念材料として、同社は外部環境の不透明さを挙げている。特に 米国の通商政策による影響や地政学リスクの高まり は、ゲーミング&システム事業の回復ペースを左右する要因となる。また、国内での物価上昇による個人消費への影響も注視する必要がある。
- 世界経済の減速懸念および金融資本市場の変動
- 中国経済の先行き不透明感
- 米国の関税措置による製品供給・コストへの影響
- 为替レート(ドル・ユーロ)の変動による業績への影響
今回の決算は、コナミの「稼ぐ力」が一段と強まったことを示す内容です。特にデジタルエンタテインメント事業の利益率が36%を超えており、主力IPのデジタル配信モデルへの転換が完全に定着したと言えます。かつての買い切り型ゲームから、継続課金型の運営モデルへシフトしたことで、収益のボラティリティが抑制され、安定した成長軌道に乗っています。
注目すべきは、今期から独立セグメント化されたアーケードゲーム事業と、大幅増益を見せたスポーツ事業です。これらは「リアルな場」を提供するビジネスであり、デジタル領域とのシナジーや、健康意識の高まりという社会トレンドを巧みに捉えています。ゲーミング事業での関税影響という一時的な外部要因はあるものの、それを補って余りある主力事業の強さが際立つ決算でした。
今後の焦点は、UAEでのカジノライセンス取得を足がかりとした中東市場でのプレゼンス拡大や、新設された東京ベイ拠点を活用した次世代IPの開発スピードになるでしょう。
