業界ダイジェスト
カゴメ株式会社 の会社詳細
カゴメ株式会社
カゴメ
2026年12月期 第1四半期

カゴメ・2026年12月期Q1、事業利益25.8%減の34億円——国内の価格改定による数量減と国際市況下落が響く

カゴメ
2811
増収減益
野菜生活100
価格改定
M&A
英国展開
トマト市況
増配
IFRS18
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

676億円

+0.6%

通期予想

3,100億円

進捗率22%

営業利益

41億円

-14.6%

通期予想

230億円

進捗率18%

純利益

21億円

-26.9%

通期予想

134億円

進捗率15%

営業利益率

6.1%

カゴメが発表した2026年12月期第1四半期決算は、売上収益が前年同期比 0.6%増675億64百万円 とほぼ横ばいとなった一方、本業の儲けを示す事業利益は 25.8%減34億38百万円 と大幅な減益を記録しました。国内では飲料製品の価格改定に伴う販売数量の減少が響き、海外ではトマトペーストの国際市況下落が利益を押し下げました。英国企業の連結子会社化など攻めの投資を継続する一方で、原材料高と消費者の節約志向という厳しい外部環境への対応が急務となっています。

業績のポイント

2026年12月期第1四半期の連結業績は、売上収益が 675億64百万円 (前年同期比 +0.6% )、事業利益が 34億38百万円 (同 -25.8% )、営業利益が 41億24百万円 (同 -14.6% )、親会社の所有者に帰属する四半期利益が 20億55百万円 (同 -26.9% )となりました。

増収減益の背景には、国内と海外それぞれの市場環境の変化があります。国内事業では、主要原材料である農産物の高騰を受け、家庭用および業務用の飲料などの一部製品で出荷価格を改定しました。これに伴い、「野菜生活100」シリーズなどの主力製品の販売数量が減少したほか、需要喚起のための販売促進費が増加し、収益を圧迫しました。

一方、海外を含む国際事業では、2026年1月に英国の食品ディストリビューターである Silbury Marketing Ltd(以下、Silbury) を全株式取得により子会社化したことで売上収益は拡大しました。しかし、トマトペーストの国際的な市況が下落したことに伴い、一次加工品の販売価格を引き下げたことが利益面での重石となりました。

項目当第1四半期実績前年同期実績増減率
売上収益67,564百万円67,167百万円+0.6%
事業利益3,438百万円4,636百万円-25.8%
営業利益4,124百万円4,830百万円-14.6%
四半期利益2,055百万円2,813百万円-26.9%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

報告セグメント別の状況は以下の通りです。国内では物価上昇による生活者の節約志向が顕著になる一方、国際事業ではM&Aによる規模拡大と市況変動の荒波を受ける対照的な結果となりました。

国内加工食品事業は、売上収益が 333億99百万円 (前年同期比 0.2%減 )、事業利益が 17億21百万円 (同 23.5%減 )の減収減益となりました。カテゴリー別では、高血圧層への訴求を強めたトマトジュースが習慣飲用の定着により堅調に推移したものの、主力飲料「野菜生活100」は価格改定後の数量減を補い切れませんでした。また、業務用食品やトマトケチャップなどはメニュー提案の強化で増収を確保したものの、原材料費の上昇が利益を削る構図が続いています。

国際事業は、売上収益が 342億57百万円 (前年同期比 5.8%増 )、事業利益が 28億94百万円 (同 6.1%減 )の増収減益となりました。英国Silbury社の連結化による増収効果があったものの、北米や欧州・豪州におけるトマトペーストの需給緩和に伴う販売価格の低下が一次加工部門の利益を直撃しました。一方で、ピザソースなどの二次加工品はフードサービス向け販売が好調に推移しており、川下領域(高付加価値品)へのシフトが課題となっています。

セグメント売上収益前年比事業利益前年比
国内加工食品33,399百万円△0.2%1,721百万円△23.5%
国際事業34,257百万円+5.8%2,894百万円△6.1%
その他5,133百万円△5.0%△126百万円
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内加工食品事業334億円49%17億円5.2%
国際事業343億円51%29億円8.4%

財務状況と資本政策

2026年3月末の総資産は、前期末比 158億62百万円 減少の 3,599億57百万円 となりました。主な要因は、Silbury社の株式取得に伴う支出などで「現金及び現金同等物」が 116億8百万円 減少したことや、季節要因および納税進捗による負債の減少です。親会社所有者帰属持分比率は 52.6% (前期末は50.7%)に上昇し、自己資本の健全性は維持されています。

キャッシュ・フロー面では、営業活動により 91億50百万円 の収入を確保した一方、投資活動ではSilbury社の株式取得(支出 43億27百万円 )や有形固定資産の取得により 59億93百万円 を支出しました。財務活動では配当金の支払いや自己株買い( 13億42百万円 )などにより 148億91百万円 の支出となりました。カゴメは株主還元を重視しており、2026年12月期の年間配当は前期比10円増配の 58円 を予定しています。

通期見通し

2026年12月期の通期連結業績予想については、2026年2月に公表した数値を据え置いています。売上収益は前期比 5.3%増3,100億円 を見込んでいます。足元の第1四半期は利益面で苦戦したものの、価格改定の浸透や国際事業におけるM&A効果のフル寄与、さらに高付加価値商品の拡大により、通期目標の達成を目指す方針です。

項目当期予想(通期)前期実績増減率
売上収益310,000百万円294,409百万円+5.3%
事業利益23,000百万円20,410百万円+12.7%
親会社株主純利益13,400百万円14,814百万円△9.5%

※前期実績の事業利益等は、会計方針の変更(IFRS18号の早期適用)に伴う遡及修正前の数値を参考値として比較。

リスクと課題

同社が直視すべき主なリスクと課題は以下の通りです。

  • 消費者の節約志向: 物価上昇が続くなか、価格改定を行った飲料製品の需要回復が想定より遅れるリスクがあります。
  • 国際市況の変動: トマトペーストなどの一次加工品は国際相場に左右されやすく、需給緩和による価格下落が収益の不安定要因となります。
  • 地政学リスク: 中東情勢の悪化に伴う物流コストの上昇や、エネルギー価格の高騰が連結業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 原材料調達: 異常気象による農産物の不作や高値が継続しており、調達コストの抑制が重要な経営課題です。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、英国Silbury社の買収による欧州市場での「製販一体」体制の構築です。これまでの国際事業は市況に左右されやすい「一次加工(ペースト等)」の比率が高く、利益のボラティリティが課題でした。Silbury社の連結化により、消費地に近い英国でマーケティングから販売までを完結させることで、より付加価値の高い「二次加工品」の比率を高める戦略が明確になっています。

一方で、国内事業は苦境に立たされています。消費者の財布の紐が固くなる中、「健康価値」への投資(トマトジュースの機能性表示など)が、価格転嫁を上回るベネフィットとして顧客に受け入れられるかが今後の焦点です。

財務面では、IFRS第18号を早期適用し、本業の経常的な実力を示す指標として「事業利益」を強調している点も、投資家に対して事業の本質的な推移を分かりやすく伝えようとする姿勢として評価できます。Q1は減益発進となりましたが、M&Aの効果が通年で寄与する第2四半期以降の巻き返しに注目したいところです。