株式会社大和証券グループ本社 の会社詳細
株式会社大和証券グループ本社
大和証券グループ本社
2026年3月期 第3四半期

大和証券G・2026年3月期Q3、営業利益29.8%増の1,477億円——ウェルス部門好調、契約資産は過去最高を更新

大和証券
証券大手
ウェルスマネジメント
増収増益
配当性向
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決算レポート
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.1兆円

+4.8%

金融費用控除後

5,225億円

+10.8%

営業利益

1,478億円

+29.8%

純利益

1,254億円

+0.8%

営業利益率

13.7%

大和証券グループ本社が発表した2026年3月期第3四半期累計(4〜12月)決算は、本業の儲けを示す営業利益が前年同期比 29.8%増1,477億8,500万円 と大幅な増益となりました。活発な株式市場を背景に委託手数料が伸びたほか、個人向け資産管理を行う ウェルスマネジメント部門 が過去最高の契約資産残高を記録するなど、ストック型ビジネスへの転換が着実に成果を上げています。一方で、経常利益は投資先の再評価に伴う引当金計上などが響き、同 3.6%減1,674億6,800万円 に留まりました。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の連結業績は、営業収益が前年同期比 4.8%増1兆756億1,300万円 、純営業収益は同 10.8%増5,225億2,700万円 となりました。最大の増益要因は 受入手数料の拡大 で、株式取引の活発化により委託手数料が 777億円(前年同期比+17.7%) と大きく伸長しました。また、レポ取引費用の減少により金融収支が改善したことも利益を押し上げています。

一方で、販売費・一般管理費は 3,747億円(前年同期比+4.7%) と増加傾向にあります。これは取引関係費の増加や、賞与を抑制する一方で給与水準を引き上げたことによる人件費の増加が主な要因です。最終的な四半期純利益は、あおぞら銀行の持分法適用に伴う 「負ののれん発生益」 などの特別利益を計上した結果、前年同期比 0.8%増1,254億2,600万円 と、ほぼ前年並みの水準を確保しました。

指標2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
営業収益1,026,437百万円1,075,613百万円+4.8%
純営業収益471,771百万円522,527百万円+10.8%
営業利益113,826百万円147,785百万円+29.8%
経常利益173,689百万円167,468百万円△3.6%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計

セグメント別動向

主力セグメントがいずれも増収を達成する中、特に「ウェルスマネジメント部門」の躍進が目立ちます。同部門の純営業収益は 2,146億円(前年同期比+13.4%) 、経常利益は 788億円(同+37.2%) となり、グループ全体の利益を牽引しました。市場環境の好転に加え、総資産コンサルティングの深化により、ラップ口座の契約資産残高が 5兆7,836億円 と過去最高を更新するなど、安定的な収益基盤が強固になっています。

「アセットマネジメント部門」は、公募投資信託の運用資産残高が株式相場の上昇と資金流入により 36.5兆円(前期末比+27.3%) と大幅に拡大しました。しかし、利益面ではオルタナティブ投資において再生可能エネルギー関連の 再評価に伴う引当金 を計上したことが重荷となり、部門全体の経常利益は 490億円(前年同期比△24.7%) と減益を余儀なくされました。

法人向けビジネスの「グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門」は、純営業収益 1,819億円(前年同期比+5.5%) 、経常利益 385億円(同+31.2%) と増収増益でした。債券収益が苦戦した一方で、好調な株式相場を背景にエクイティ収益が拡大したほか、M&Aアドバイザリー業務での多数の案件執行が収益を支えました。

部門名純営業収益前年同期比経常利益前年同期比
ウェルスマネジメント214,695百万円+13.4%78,873百万円+37.2%
アセットマネジメント85,815百万円+18.4%49,076百万円△24.7%
グローバル・M&IB181,912百万円+5.5%38,594百万円+31.2%
セグメント収益(控除後)構成比営業利益営業利益率
ウェルスマネジメント2,147億円41%789億円36.7%
アセットマネジメント858億円16%491億円57.2%
グローバル・マーケッツ&IB1,819億円35%386億円21.2%

※ セグメント収益は金融費用控除後ベース(収益合計のグロス値とは異なります)

財務状況と資本政策

2025年12月末時点の総資産は、前連結会計年度末比で 2兆5,710億円増加 し、 38兆5,953億円 となりました。これは主に、現預金の増加やトレーディング商品の積み上がりに伴うものです。一方、負債合計も 36兆6,055億円 に拡大しており、銀行業における預金の増加などが寄与しています。

株主還元については、 「配当性向50%以上」 の方針を維持しています。2026年3月期の年間配当については、2027年3月期までの中期経営計画期間における 「年間下限配当44円」 の設定に基づき、中間配当 29円 を実施済みです。期末配当は業績動向を踏まえて決定されるため現時点では未定ですが、少なくとも通期で 44円 以上の配当を維持する方針を改めて示しています。自己資本比率は 4.4% と、前年度末(4.6%)から微減となりましたが、概ね安定した水準を維持しています。

リスクと課題

同社は今後の中長期的なリスクとして、以下の要因を挙げています。

  • 市場環境の変動リスク: 有価証券関連業を主軸とするため、国内外の株式・債券市場や為替の動向、地政学リスクが直接的に業績を左右します。ボラティリティの上昇は、トレーディング損益の悪化を招く可能性があります。
  • 投資先の評価損リスク: 直近のアセットマネジメント部門で見られたように、プライベートエクイティや再生可能エネルギー、不動産などの投資資産において、市場環境の変化に伴う再評価や減損、引当金の計上が利益を圧迫するリスクがあります。
  • 金利変動の影響: 銀行業(大和ネクスト銀行)を擁することから、国内外の金利情勢の変化が資金利鞘やレポ取引のコストに影響を与え、収益構造を変化させる要因となります。
AIアナリストの視点

大和証券グループの今期決算は、個人向けビジネスへの構造改革が実を結びつつあることを強く印象付ける内容でした。特にウェルスマネジメント部門の好調さは、フロー(売買手数料)頼みからストック(資産残高手数料)への転換が成功している証左と言えます。

注目すべきは「あおぞら銀行」との提携に関連する動きです。持分法適用により負ののれん益という一時的な押し上げ効果もありましたが、今後は銀証連携をいかに具体収益に繋げるかが就活生や投資家にとっての注目ポイントになるでしょう。

懸念点としては、アセットマネジメント部門での一部投資資産の再評価です。オルタナティブ投資は高利回りが期待できる反面、今回のような評価損リスクを内包しており、ポートフォリオの質の維持が今後の焦点となります。また、配当の下限設定(44円)は投資家にとっての下値支持材料として強力に機能しそうです。