カシオ計算機・2026年3月期Q3、営業利益61.7%増の181億円——主力の時計が絶好調、通期予想も上方修正
売上高
2,080億円
+6.2%
通期予想
2,740億円
営業利益
182億円
+61.7%
通期予想
220億円
純利益
154億円
+261.6%
通期予想
170億円
営業利益率
8.7%
カシオ計算機の第3四半期は、主力の時計事業が世界的に伸び、営業利益が61.7%増と大きく拡大しました。好調な業績を背景に、通期予想の上方修正と最大50億円の自社株買いも発表しています。
業績のポイント
売上高は前年より 6.2%増 の 2,080億円 でした。
営業利益は前年より 61.7%増 の 181億円 と急成長しています。
純利益は前年比 261.6%増 の 154億円 となりました。
前年に出た 特別退職金などの一時的な費用 がなくなったことが主な要因です。
主力の「G-SHOCK」やブランド時計が世界で売れ、利益を押し上げました。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- 時計: 売上高 1,389億円(前年比 11.2%増)、利益 211億円(前年比 32.1%増)。
「G-SHOCK」の定番モデルや新製品が年末商戦でヒットしました。また、若者の間でレトロな「CASIO WATCH」が流行し、世界的に好調でした。
- コンシューマ: 売上高 620億円(前年比 1.6%増)、利益 27億円(前年比 50.0%増)。
関数電卓(EdTech)で値上げ前の駆け込み需要があり、増収となりました。一方で、電子ピアノなどの楽器類は市場環境が厳しく、苦戦が続いています。
- その他: 売上高 69億円(前年比 28.5%減)、損失 11億円。
不採算だったシステム事業の譲渡など、事業構造の改革 を進めたことで売上は減りました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 時計 | 1,390億円 | 67% | 211億円 | 15.2% |
| コンシューマ | 621億円 | 30% | 28億円 | 4.4% |
| その他 | 70億円 | 3% | -1,121百万円 | — |
財務状況と資本政策
自己資本比率は 67.2% となり、前年末から 1.2ポイント向上 しました。
非常に健全で、強固な財務体質を維持しています。
株主還元として、最大 50億円(380万株)の 自社株買い を発表しました。
資本効率を高め、投資家への利益還元を強化する姿勢を見せています。
リスクと課題
- 中国市場での消費の回復が遅れており、景気先行きが懸念されます。
- 為替レートの変動(想定レート:1ドル145円、1ユーロ170円)による影響。
- 物価上昇に伴う、原材料費や物流コストの上昇リスク。
- 地政学リスクの高まりによる、物流や販売への悪影響。
通期見通しの上方修正
好調な時計事業を反映し、通期の業績予想を 上方修正 しました。
- 売上高:2,740億円(前回予想から据え置き、前年比 4.7%増)
- 営業利益:220億円(前回比 10%増、前年比 54.5%増)
- 純利益:170億円(前回比 13%増、前年比 110.8%増)
年末商戦の勢いが想定を上回ったことが、上方修正の決め手となりました。
今回の決算は、カシオの「ブランド力」が再確認された内容といえます。特に時計事業において、単なるデジタル時計としての機能だけでなく、レトロブームを捉えた「CASIO WATCH」ブランドの確立や、「G-SHOCK」の高級化・定番化が利益率の改善に大きく寄与しています。
純利益が前年比で3倍以上に跳ね上がっているのは、前期に実施したシステム事業の整理や早期退職といった「膿(うみ)出し」が完了し、収益構造が筋肉質になった結果です。不採算事業を切り離し、得意とする時計・教育事業に集中する戦略が明確に数字に表れています。
注目すべきは、業績好調に合わせた自社株買いの発表です。財務に余裕がある中で、株主還元への意識の高さを示したことは、投資家から高く評価されるポイントでしょう。今後は、中国経済の停滞を他地域でいかにカバーし続けられるかが、成長持続の焦点となります。
