スーパーゼネコン4社・2026年3月期決算——「量より質」へ大転換、鹿島が3兆円超え、大成は利益率9%で首位
今期の総括
「規模」から「利益」へ。受注選別で収益性が劇的改善。
スーパーゼネコン4社の決算が出揃いました。資材高を乗り越え、各社とも大幅な増益を達成。不採算工事の整理が進み、業界は「利益重視」のフェーズへ突入しました。特に鹿島建設は売上3兆円、営業利益2400億円を超え独走。株主還元を競うように強化する姿勢も鮮明になりました。
業界全体の動き
建設業界を動かした共通テーマは以下の3点です。
- 採算重視の受注戦略へのシフト
無理な安値受注をやめ、利益の出る案件を選別。これが利益の大幅増につながりました。
- 資材高騰への対応が一段落
高騰したコストの価格転嫁が進みました。不採算案件の処理も終わり、収益がV字回復しています。
- 株主還元の競争が激化
PBR(株価純資産倍率)1倍割れ対策が加速。各社とも配当性向の引き上げや自社株買いを強化しています。
売上高 前年同期比
清水と鹿島が増収を維持。大成は利益率を優先し、意図的に売上規模を絞る「質の経営」へ転換しています。
純利益 前年同期比
清水が約2倍の伸び。本業の回復に加え、政策保有株の売却という「資産の若返り」が利益を押し上げました。
勝者と敗者:鹿島の独走と清水の課題
今回の「勝者」は鹿島建設です。
売上高は3兆673億円(前年比5.3%増)。営業利益も2,408億円(同58.5%増)と圧倒的な規模を誇ります。土木・建築ともに大型案件が順調に進みました。
対照的に「苦戦」が見えるのは清水建設です。
純利益は1,266億円(同91.8%増)と爆発的に伸びました。しかし、これは持ち株の売却による影響が大きいです。本業の儲けを示す営業利益率は5.8%に留まりました。大成建設の9.0%と比べると、収益性の改善にまだ伸び代があります。
勝者
鹿島建設
苦戦
清水建設
売上高ランキング
鹿島が唯一の3兆円台。2位大林組に約5,000億円の差をつけ、規模のメリットを最大限に活かしています。
営業利益ランキング
全社が2桁増益。特に鹿島と大成は50%超の伸びを見せ、業界全体が「稼ぐ力」を取り戻した証拠です。
営業利益率ランキング
大成の9%が際立つ。売上減を厭わない徹底した案件選別が、高い収益性となって数字に表れました。
注目の動き・戦略比較
各社の「稼ぐ力」の源泉は三者三様です。
- 大成建設:徹底した「受注選別」を断行。
売上は2兆891億円(同3%減)と減りました。しかし、利益率は業界トップの9.0%へ改善。東洋建設の連結化で土木も強化しています。
- 大林組:財務の「安定感」をアピール。
自己資本比率が40.0%に到達。DOE(自己資本配当率)5%という高い還元目標を掲げ、投資家を惹きつけています。
- 清水建設:大胆な「資産整理」と増配。
政策保有株式を売り、その利益を原資に配当を72円(前期比34円増)へ倍増。還元姿勢を鮮明にしました。
業界共通のリスク
好調な決算の一方で、以下のリスクには注意が必要です。
- 「2024年問題」による人手不足と労務コスト増
- 物価上昇が再燃した場合の資材調達リスク
- 金利上昇による民間設備投資の冷え込み
- 国内市場の成熟に伴う海外事業の成否
就活生・転職希望者へ
今のスーパーゼネコンは「激務で薄利」なイメージを脱しつつあります。営業利益率が7〜9%まで向上し、稼ぐ力が強まったことで、DX投資や働き方改革への投資余力が生まれています。特に利益重視へ舵を切った今は、効率的な働き方を求める人にとってチャンスの時期と言えます。
