東京センチュリー・2026年3月期通期、純利益30.5%増の1,112億円——航空機関連の保険和解金が寄与、新中計で還元強化へ
売上高
1.5兆円
+6.5%
営業利益
1,483億円
+26.7%
純利益
1,113億円
+30.5%
通期予想
1,230億円
営業利益率
10.2%
東京センチュリーが発表した2026年3月期(通期)連結決算は、売上高が前期比 6.5%増 の 1兆4,576億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同 30.5%増 の 1,112億円 となり、大幅な増収増益を達成した。航空機リースを手掛ける海外子会社での ロシア関連保険和解金 の計上が利益を大きく押し上げたほか、国際事業でのデータセンター案件なども好調に推移した。同社は当初の「中期経営計画2027」を前倒しで達成し、新たに2030年度までの新中期経営計画と 配当性向35%以上 への引き上げを発表するなど、成長加速と株主還元の両立を鮮明にしている。
東京センチュリー 2026年3月期 通期決算
さくら × けんじ の対話形式解説
業績のポイント
当連結会計年度の業績は、主要な利益項目が軒並み過去最高水準を更新する極めて好調な内容となった。売上高は前期比 6.5%増 の 1兆4,576億円、営業利益は同 26.7%増 の 1,483億円 を記録した。国内での堅調な設備投資需要に加え、スペシャルティ事業および国際事業が全体の収益を牽引した形だ。
利益面で特筆すべきは、親会社株主に帰属する当期純利益が前期の 852億円 から 1,112億円(前年比+30.5%) へと急拡大した点である。これは米国子会社のACGにおけるロシア関連保険和解金という一過性の利益が寄与した一方で、バイオマス発電事業やシステム開発関連での 減損損失 を計上したものの、それらを十分に吸収した結果である。経営陣は当初の5ヵ年計画を3年で達成したと判断し、新たな成長ステージへの移行を宣言した。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆3,686億円 | 1兆4,576億円 | +6.5% |
| 営業利益 | 1,170億円 | 1,483億円 | +26.7% |
| 経常利益 | 1,322億円 | 1,634億円 | +23.5% |
| 当期純利益 | 852億円 | 1,112億円 | +30.5% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
セグメント別では、航空機関連を含むスペシャルティ事業と国際事業が利益の柱となった。国内リース事業は売上高 4,620億円(前年比+2.9%) と安定しており、NTTグループとの合弁会社であるNTT・TCリースが過去最高益を更新するなど、パートナー連携によるベース収益の伸長が確認できる。
オートモビリティ事業は売上高 3,149億円(前年比+4.7%) と増収を確保したものの、セグメント利益は 121億円(同▲31.4%) と減益となった。これは連結子会社における システム開発計画の見直し に伴い、 126億円 の減損損失を計上したことが主な要因である。一方で、豪州の独立系レンタカー会社の買収を決めるなど、海外モビリティ市場への積極的な進出を図っている。
スペシャルティ事業は、今決算で最も大きな変動を見せた。セグメント利益は前期比 3.4倍 の 1,122億円 に達している。これは航空機リースにおいてロシアの航空会社向け機体に関する保険金和解が成立し、 824億円 を特別利益として計上したことが大きく寄与した。また、国際事業も米国データセンター向け案件や有価証券売却益により、利益は 235億円(前年比+44.4%) と大幅な増益となった。
環境インフラ事業は、バイオマス混焼発電事業に関する減損損失 701億円 を計上したことで、セグメント損益は 445億円の赤字 (前期は1億円の黒字)となった。事業環境の変化に対応した 資産ポートフォリオの入れ替え を断行し、将来のリスクを早期に摘み取る判断を下している。
| セグメント名 | 売上高(当期) | セグメント利益(当期) | 前年比(利益) |
|---|---|---|---|
| 国内リース | 4,620億円 | 228億円 | ▲0.1% |
| オートモビリティ | 3,149億円 | 121億円 | ▲31.4% |
| スペシャルティ | 3,429億円 | 1,122億円 | +241.3% |
| 国際 | 2,709億円 | 235億円 | +44.4% |
| 環境インフラ | 660億円 | ▲445億円 | — |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内リース事業 | 4,621億円 | 32% | 228億円 | 4.9% |
| オートモビリティ事業 | 3,149億円 | 22% | 121億円 | 3.9% |
| スペシャルティ事業 | 3,430億円 | 24% | 1,122億円 | 32.7% |
| 国際事業 | 2,709億円 | 19% | 235億円 | 8.7% |
| 環境インフラ事業 | 661億円 | 5% | -44,450百万円 | — |
財務状況と資本政策
総資産は、リース債権や賃貸資産の積み上げを主因に前期末比 3,519億円増 の 7兆2,148億円 となった。これに伴い負債も増加しているが、自己資本比率は 15.5% と前期末から 0.5ポイント上昇 し、財務の健全性は維持されている。営業活動によるキャッシュ・フローは賃貸資産の取得により 769億円の支出 となったが、これは将来の収益基盤を作るための積極的な投資の結果である。
株主還元については、 累進配当 を基本方針としつつ、利益成長に合わせた増配を継続している。2026年3月期の年間配当は前期から 18円増配 の 80円 となり、配当性向は 35.1% を達成した。さらに、2027年3月期は年間 90円 への増配を予想しており、新中期経営計画でも配当性向目標を「35%以上」に設定するなど、還元姿勢を一段と強めている。
リスクと課題
今後の懸念材料として、会社側は外部環境の急激な変化を挙げている。特に日本銀行の政策金利引き上げに伴う 資金調達コストの上昇 や、米国の通商政策が輸出環境に与える影響を注視している。また、不安定な中東情勢が海運市況や原油価格に波及し、航空機リースや再エネ事業のコスト増につながるリスクも内在している。
- 金利上昇リスク: 国内外での金利上昇による利鞘の縮小懸念。
- 地政学リスク: 中東情勢や米中関係によるサプライチェーンへの影響。
- 資産価値変動: 中古車相場や航空機の残価変動による事業収益へのインパクト。
通期見通し
2027年3月期の通期連結業績予想について、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比 10.5%増 の 1,230億円 を見込む。一過性の保険和解金が剥落する一方で、既存事業のベース収益の拡大やポートフォリオの最適化によって、二桁の増益を継続する計画だ。中東情勢などの不確実性に備え、 20億円のリスクバッファー を織り込んだ保守的な側面も持ちつつ、成長投資と還元の両立を目指す。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,112億円 | 1,230億円 | +10.5% |
| 1株当たり当期純利益 | 227.82円 | 251.66円 | +10.5% |
東京センチュリーの今決算は、航空機リースにおける「ロシア関連の負の遺産」を保険和解という形でプラスに転じさせた、大きな転換点となりました。
注目すべきは、保険金という巨額の一過性利益を、バイオマス事業やシステム関連の減損処理(いわゆる膿出し)に充て、翌期以降の足かせを外した経営判断です。これにより、2027年3月期は特殊要因なしでの過去最高益更新を目指すという、非常に強い自信が感じられます。
また、NTTグループとの合弁(NTT・TCリース)が過去最高益を更新し続けている点は、同社の強みである「事業共創」が実を結んでいる証左です。単なる金融(リース)から、データセンターやモビリティといった事業運営に近い領域へシフトしており、投資家にとっても「金利耐性のある成長株」としての性格が強まっています。
