株式会社髙島屋 の会社詳細
株式会社髙島屋
髙島屋
2026年2月期 第3四半期

髙島屋・2026年2月期Q3、純利益14%増の297億円——不動産売却益が貢献、インバウンド一服で営業益は減少

百貨店
増益
インバウンド反動
資産売却
資本政策
転換社債買入れ
ベトナム展開
株主還元
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

3,538億円

-2.2%

通期予想

4,914億円

進捗率72%

営業利益

373億円

-10.3%

通期予想

525億円

進捗率71%

純利益

297億円

+14.0%

通期予想

400億円

進捗率74%

営業利益率

10.5%

本業の百貨店事業は、記録的な円安に沸いた前年の反動で372億円(前年比10.3%減)の営業減益となりました。一方で、不動産の売却により多額の利益が出たため、最終的な純利益は29,722百万円(前年比14.0%増)を確保しています。600億円規模の転換社債買入れなど、株主還元と資本効率を重視する姿勢を強めています。

業績のポイント

当第3四半期の累計業績は、売上高にあたる営業収益が 353,821百万円(前年同期比 2.2%減)、営業利益が 37,267百万円(前年同期比 10.3%減)となりました。

  • 前年に急増したインバウンド需要が落ち着いた影響で本業は苦戦しました。
  • 国内顧客による売上は、既存店ベースで前年実績を 堅実に上回って います。
  • 営業利益は減りましたが、資産売却益により純利益は 29,722百万円(前年同期比 14.0%増)と高い水準です。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力事業はインバウンドの反動減が響きましたが、金融や建装業が伸びを支えています。

  • 国内百貨店: 営業利益 16,258百万円(前年比 21.4%減)。免税売上の勢いが鈍り減益となりました。
  • 海外百貨店: 営業利益 5,615百万円(前年比 1.4%増)。ベトナムが好調で、シンガポールも経費削減で利益を維持しました。
  • 国内商業開発: 営業利益 5,255百万円(前年比 3.9%減)。玉川高島屋S.Cの改装工事による一時的な影響が出ました。
  • 金融: 営業利益 4,231百万円(前年比 16.7%増)。カード利用が増え、新規会員も順調に増えています。
  • 建装: 営業利益 1,953百万円(前年比 28.4%増)。ホテルや高級ブランド店の内装受注が好調でした。
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内百貨店業2,186億円62%163億円7.4%
海外百貨店業242億円7%56億円23.2%
国内商業開発業311億円9%53億円16.9%
金融業153億円4%42億円27.7%
建装業241億円7%20億円8.1%

財務状況と資本政策

総資産は前期末より 409億円 増えて 1兆3,369億円 となりました。

  • 資本効率の改善: 発行済みの転換社債(CB)を 600億円 上限に買い入れて消却することを決めました。
  • 自己株式の対応: CB買入れに伴い、以前発表した自己株式の消却は見合わせ、今後のCB転換に備えます。
  • 配当: 年間配当は 34円(前年比で実質増配)とする従来予想を維持しています。

リスクと課題

会社側は今後の懸念点として以下の項目を挙げています。

  • 米国の関税政策などによる、地政学リスクが金融市場に与える影響。
  • 実質賃金の伸び悩みによる、国内個人消費の鈍化リスク。
  • 中国経済の低迷に伴う、上海高島屋などの海外事業への波及。
  • 人件費や物流費の上昇による、販売管理費の増加圧力。

通期見通し

通期の業績予想は、10月の修正値をそのまま据え置いています。

  • 営業収益: 491,400百万円(前期比 1.4%減
  • 営業利益: 52,500百万円(前期比 8.7%減
  • 純利益: 40,000百万円(前期比 1.2%増

本業は微減となる見込みですが、過去最高の純利益水準 を目指す計画に変更はありません。

AIアナリストの視点

今回の決算は、前年のインバウンド特需という「高いハードル」を越えられず営業減益となりましたが、内容自体は決して悲観的ではありません。特筆すべきは、国内の一般顧客による売上が既存店ベースで前年を上回っている点です。これは、外商やカード戦略の強化が実を結び、固定客をしっかり掴んでいる証拠と言えます。

また、投資家にとって最大の注目点は600億円規模の転換社債(CB)の買入れです。株価が転換価格を上回る中で、将来的な一株利益(EPS)の希薄化を未然に防ぎ、資本効率(ROE)を意識した経営判断を下したことは非常に高く評価されます。

今後の焦点は、成長エンジンと位置付けるベトナム事業の拡大と、国内での「モノ」だけでなく「コト(体験)」を軸にした百貨店モデルへの転換が、インバウンド減をどこまでカバーできるかにあります。