ミネベアミツミ・2026年3月期Q3、売上高7.3%増の1.2兆円——データセンター・航空機需要が牽引、通期予想を上方修正
売上高
1.2兆円
+7.3%
通期予想
1.6兆円
営業利益
752億円
+3.1%
通期予想
1,010億円
純利益
494億円
+16.2%
通期予想
710億円
営業利益率
6.1%
ミネベアミツミが発表した2026年3月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比 7.3%増 の 1兆2,322億円 と増収を確保しました。主力であるボールベアリングがデータセンター向けサーバーや航空機向けで好調に推移したほか、2025年10月に実施したM&Aによる連結範囲の拡大も寄与しました。これに伴い、同社は通期の売上高および営業利益の予想を上方修正し、積極的な成長姿勢を鮮明にしています。
業績のポイント
当第3四半期累計期間の連結業績は、売上高が 1兆2,322億円(前年同期比 +7.3%)、営業利益が 752億円(同 +3.1%)となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は 493億円(同 +16.2%)と大幅な増益を達成しています。世界的に不透明な経済環境が続く中、高付加価値製品へのシフトと徹底したコスト削減が実を結びました。
好業績の背景には、デジタル社会の進展に伴うデータセンター向け需要の拡大があります。特に同社の強みであるボールベアリングやファンモーターが、サーバーの冷却用途などで堅調に伸びました。また、航空機業界の回復に伴う機体・エンジン向け部品の需要増加も収益を押し上げる要因となりました。
| 指標 | 2025年3月期 Q3 | 2026年3月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,147,880百万円 | 1,232,235百万円 | +7.3% |
| 営業利益 | 72,951百万円 | 75,208百万円 | +3.1% |
| 税引前利益 | 59,927百万円 | 69,655百万円 | +16.2% |
| 四半期利益 | 42,491百万円 | 49,385百万円 | +16.2% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力4事業のうち、プレシジョンテクノロジーズやセミコンダクタ事業が全体を牽引した一方で、自動車関連は苦戦を強いられました。
プレシジョンテクノロジーズ事業は、売上高 2,033億円(前年同期比 +7.6%)、営業利益 440億円(同 +5.7%)と増収増益でした。データセンター向けのサーバー需要に加え、航空機向けロッドエンドベアリングなどのメカニカルパーツが堅調に推移したことが主因です。
モーター・ライティング&センシング事業は、売上高 3,324億円(前年同期比 +3.7%)、営業利益 206億円(同 +4.0%)となりました。主にファンモーターの需要増が寄与しています。液晶用バックライトなどの電子デバイスも含まれますが、付加価値の高いモーター製品が収益を支えました。
セミコンダクタ&エレクトロニクス事業は、売上高 4,539億円(前年同期比 +15.8%)、営業利益 204億円(同 +19.4%)と、セグメント別で最大の伸びを記録しました。機構部品の販売が増加したほか、製品ミックスの改善が利益率の向上に繋がっています。
一方、アクセスソリューションズ事業は、売上高 2,397億円(前年同期比 1.6%減)、営業利益 104億円(同 2.4%減)と低迷しました。主要顧客である自動車メーカーの生産減少が直接的な打撃となり、キーセットやドアハンドルなどの販売が落ち込みました。
| セグメント名 | 売上高 (前年比) | 営業利益 (前年比) | 備考 |
|---|---|---|---|
| プレシジョンテクノロジーズ | 203,318百万円 (+7.6%) | 44,033百万円 (+5.7%) | データセンター・航空機向け好調 |
| モーター・L&S | 332,459百万円 (+3.7%) | 20,651百万円 (+4.0%) | ファンモーターの需要増 |
| 半導体・エレ | 453,903百万円 (+15.8%) | 20,485百万円 (+19.4%) | 機構部品の販売が大幅増 |
| アクセスSOL | 239,739百万円 (△1.6%) | 10,416百万円 (△2.4%) | 自動車減産の影響 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| プレシジョンテクノロジーズ | 2,033億円 | 17% | 440億円 | 21.7% |
| モーター・ライティング&センシング | 3,325億円 | 27% | 207億円 | 6.2% |
| セミコンダクタ&エレクトロニクス | 4,539億円 | 37% | 205億円 | 4.5% |
| アクセスソリューションズ | 2,397億円 | 20% | 104億円 | 4.3% |
通期見通しの修正
足元の堅調な受注状況とM&Aによる業績上乗せを踏まえ、同社は2026年3月期の通期業績予想を上方修正しました。売上高は前回予想から 500億円 引き上げ、1兆6,000億円 を目指します。
修正の背景には、第3四半期までの進捗が想定を上回ったことに加え、2025年10月に買収した ミネベアリニアモーション株式会社 の業績が寄与することが挙げられます。営業利益についても 10億円 上積みの 1,010億円 を見込んでおり、成長軌道の維持に自信を見せています。
| 項目 | 前回発表予想 | 今回修正予想 | 前期実績 (2025/3) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,550,000百万円 | 1,600,000百万円 | 1,522,500百万円 |
| 営業利益 | 100,000百万円 | 101,000百万円 | 94,400百万円 |
| 純利益 | 71,000百万円 | 71,000百万円 | 59,400百万円 |
財務状況と資本政策
2025年12月末時点の総資産は、前期末比 1,974億円増 の 1兆7,822億円 となりました。M&Aに伴う「のれん」や無形資産の増加に加え、事業拡大に伴う棚卸資産や営業債権の増加が要因です。負債についても、買収資金や運転資金の確保を目的に、社債および借入金が 961億円 増加しました。
資本面では、親会社所有者帰属持分比率が 47.4% と前期末から 0.5ポイント 向上しており、健全な財務基盤を維持しています。株主還元については、中間配当を 25円 実施済みで、期末配当も 25円 を予定。年間配当は前期比 5円増配 の 50円 となる見込みで、安定的な利益還元の姿勢を示しています。
リスクと課題
今後の懸念材料として、以下の要因が挙げられています。
- 地政学・通商リスク: 米国による相互関税の発動など、貿易環境の変化が供給網やコストに与える影響。
- 自動車市場の減速: アクセスソリューションズ事業に直結する、主要顧客の減産継続リスク。
- 景気後退懸念: 世界各国の景気動向がまだら模様であり、特に中国や東南アジアでの消費鈍化が懸念される。
- 原材料・物流コスト: コスト転嫁を進めているものの、さらなるインフレ圧力が利益を圧迫する可能性。
ミネベアミツミの強みである「相合(そうごう)」戦略が、自動車セクターの不振をデータセンターや航空機向け需要で補う形で、ポートフォリオの強靭さを示した決算と言えます。
特筆すべきは、2025年10月に取得した旧ハイウィン・マイクロシステムの事業(ミネベアリニアモーション)による連結貢献です。積極的なM&Aによって技術ポートフォリオを拡大し、売上高を上方修正する攻めの姿勢は、投資家にとってポジティブな材料でしょう。
一方で、アクセスソリューションズ(旧ユーシン事業が主)が自動車生産減少の煽りを受けて減益となっている点は、今後の自動車市場の回復次第でさらなるリスクにもチャンスにもなり得ます。AI・サーバー関連の冷却需要は中長期的に強いため、この分野でのシェア維持が今後の株価形成の鍵となりそうです。
