FOOD & LIFE COMPANIES・2026年9月期Q1、営業利益40.5%増の134億円——中国・上海進出など海外事業が牽引
売上高
1,227億円
+23.7%
通期予想
4,850億円
営業利益
135億円
+40.5%
通期予想
405億円
純利益
85億円
+39.4%
通期予想
240億円
営業利益率
11.0%
スシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIESの2026年9月期第1四半期決算は、売上収益が前年同期比 23.7%増 の 1,226億5,600万円 、営業利益が同 40.5%増 の 134億6,300万円 と大幅な増収増益となった。国内でのデジタル投資による顧客体験向上に加え、中国市場を中心とした海外スシロー事業の急速な拡大 が全体の業績を大きく押し上げた。原材料費の高騰や人手不足といった逆風下でも、積極的な海外出店と高付加価値商品の投入により、成長スピードを加速させている。
業績のポイント
当第1四半期の連結業績は、売上収益・各利益項目ともに前年を大きく上回る好決算となった。売上収益は 1,226億5,600万円 (前年同期比 +23.7% )、営業利益は 134億6,300万円 (同 +40.5% )を記録している。背景には、国内スシロー事業の安定した集客力に加え、海外事業が爆発的な成長期に入ったことがある。特に純利益は 85億4,500万円 (同 +39.4% )と、通期予想に対する進捗も極めて順調だ。
経営環境としては、賃上げによる個人消費の持ち直しが見られる一方、コメをはじめとする原材料価格の高騰 や円安によるコスト増が重石となっている。同社はこれに対し、デジタル技術を活用した店舗運営の効率化や、アニメ・ゲーム等の人気コンテンツとのコラボレーションによる販促活動で対抗した。その結果、調整後EBITDAも 177億3,800万円 (同 +36.5% )と大幅に伸長し、キャッシュ創出力の高さを見せつけている。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力セグメントである「国内スシロー事業」と、成長エンジンである「海外スシロー事業」がいずれも二桁増益を達成した。
国内スシロー事業は、売上収益 716億7,900万円 (前年同期比 +13.4% )、セグメント利益 64億6,600万円 (同 +20.9% )となった。「本鮪中とろ」などの看板商品の投入に加え、デジタルを活用した次世代型店舗「デジロー(デジタル・スシロービジョン)」の導入が144店舗まで拡大し、顧客満足度の向上に寄与した。また、人気ゲーム「プロジェクトセカイ」とのコラボレーションなど、体験型価値の提供が若年層を中心とした集客に繋がっている。
海外スシロー事業は、売上収益 428億7,800万円 (前年同期比 +54.4% )、セグメント利益 54億3,800万円 (同 +75.2% )と驚異的な伸びを示した。特に中国大陸での積極展開が実を結び、2025年12月には上海市へ初進出。同時オープンした2店舗では入場待ち時間が10時間を超えるなど、現地の日本食ニーズを強力に取り込んでいる。香港やシンガポールでも地域限定メニューや他IPとのコラボが奏功し、利益率を押し上げた。
| セグメント | 売上収益 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 国内スシロー | 716億7,900万円 | +13.4% | 64億6,600万円 | +20.9% |
| 海外スシロー | 428億7,800万円 | +54.4% | 54億3,800万円 | +75.2% |
| 京樽 | 58億2,400万円 | △5.3% | 2億1,900万円 | +205.5% |
| 国内杉玉 | 22億5,600万円 | +11.2% | 1億3,800万円 | +151.7% |
その他の事業では、「京樽」が不採算店舗の整理により減収ながらも大幅増益を達成。寿司居酒屋「杉玉」も国内100店舗を突破し、ブランド力の向上とともに着実な収益源へと育っている。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内スシロー事業 | 717億円 | 58% | 65億円 | 9.0% |
| 海外スシロー事業 | 429億円 | 35% | 54億円 | 12.7% |
| 京樽事業 | 58億円 | 5% | 2億円 | 3.8% |
| 国内杉玉事業 | 23億円 | 2% | 1億円 | 6.1% |
財務状況と資本政策
2025年12月末時点の総資産は、前連結会計年度末比 160億5,200万円増 の 4,146億4,800万円 となった。主に積極的な新規出店に伴い、有形固定資産が 101億円 増加したことが要因である。一方で、配当金の支払いなどにより現金及び現金同等物は 24億7,600万円 減少したが、営業活動によるキャッシュ・フローは 166億6,300万円 (前年同期比 +65.7% )と大幅なプラスを維持しており、成長投資と財務の健全性を両立させている。
配当については、年間で1株当たり 35円 の据え置きを予定している。親会社所有者帰属持分比率は 24.8% と前期末から 0.8ポイント向上 し、自己資本の蓄積も進んでいる。好調な業績を背景に、成長投資を優先しつつ安定的な株主還元を継続する方針だ。
通期見通し
2026年9月期の通期連結業績予想については、2025年11月公表の数値を据え置いた。売上収益は前期比 12.9%増 の 4,850億円 、営業利益は同 12.2%増 の 405億円 を見込む。第1四半期時点で営業利益の進捗率は約33%に達しており、極めて力強い滑り出しと言える。同社は引き続き、国内外での新規出店(期末1,225店舗からさらなる拡大)と、デジタル技術を駆使した収益性の向上を追求する方針だ。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 4,850億円 | 修正なし | 4,297億円 |
| 営業利益 | 405億円 | 修正なし | 360億円 |
| 親会社株主帰属純利益 | 240億円 | 修正なし | 229億円 |
リスクと課題
足元の業績は好調だが、以下のリスク要因には注視が必要である。
- 原材料費のさらなる高騰: 特に主原料であるコメの価格動向は収益に直結するリスク要因として挙げられている。
- 為替変動の影響: 海外事業の拡大に伴い、円安が輸入コストを押し上げる一方で、外貨建て収益の押し上げ要因にもなるなど、業績への影響が複雑化している。
- 海外の政治経済情勢: 急成長を支える中国大陸市場において、現地の経済状況や政情不安が店舗運営や集客に影響を及ぼす可能性がある。
- 人手不足: 外食業界共通の課題として、アルバイトスタッフの確保と人件費の上昇が利益を圧迫する要因となっている。
今回の決算で最も注目すべきは、「海外スシロー事業」の利益成長率(前年同期比+75.2%)です。国内市場が成熟化し、コメ価格高騰などのコスト圧力に晒される中で、中国大陸や東南アジアが明確な「第二の成長の柱」として機能し始めています。
特に、上海での熱狂的な受け入れは、同社のブランド力がアジア全域で非常に高いことを証明しました。また、国内でも「デジロー」の導入により、単なるコストカットではなく、エンターテインメント性を高めることで客単価や満足度を上げる「攻めのDX」に成功している点は、他社との大きな差別化要因です。
懸念点としては、海外比率の高まりによる「地政学リスク」と、国内での「コメ価格高騰」の影響です。今後は、これらのコスト増をどの程度デジタル化による効率改善や、コラボ・高単価商品の投入で吸収できるかが焦点となるでしょう。第1四半期での営業利益進捗率が33%を超えていることから、今後の上方修正の可能性も視野に入る非常に強い内容でした。
