キヤノン株式会社 の会社詳細
キヤノン株式会社
キヤノン
2025年12月期 通期

キヤノン・2025年12月期通期、純利益107%増の3,320億円——2期連続の過去最高売上、次期も増収増益を予想

キヤノン
過去最高売上
大幅増益
増配
自社株買い
ミラーレスカメラ
AI露光装置
TOB
IFRS移行
7751
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

4.6兆円

+2.5%

通期予想

4.8兆円

進捗率97%

営業利益

4,554億円

+62.8%

通期予想

4,790億円

進捗率95%

純利益

3,321億円

+107.5%

通期予想

3,410億円

進捗率97%

営業利益率

9.8%

キヤノンが29日に発表した2025年12月期の連結決算は、売上高が前期比 2.5%増4兆6,247億円 となり、2期連続で過去最高を更新しました。営業利益は同 62.8%増4,553億円 、純利益は同 107.5%増3,320億円 と大幅な増益を記録しました。前期に計上したメディカル事業ののれん減損がなくなったことに加え、カメラ事業の好調や徹底したコスト管理が寄与し、経営基盤の強さを示す内容となりました。

業績のポイント

2025年12月期の業績は、売上高・各段階利益ともに高い成長を実現しました。売上高は 4兆6,247億円 (前期比 +2.5% )に達し、グローバル優良企業グループ構想「Phase VI」の最終年度として2期連続の過去最高更新を果たしています。

利益面では、営業利益が 4,553億円 (前期比 +62.8% )と急拡大しました。これは、前期にメディカルビジネスユニットで認識したのれんの減損損失(約1,651億円)がなくなった反動に加え、海外での構造改革効果や徹底した経費管理が功を奏した結果です。1株当たり当期純利益(EPS)も 367.48円 (前期は165.53円)と大きく伸長しています。

項目2024年12月期実績2025年12月期実績前期比2026年12月期予想前期比
売上高4兆5,098億円4兆6,247億円+2.5%4兆7,650億円+3.0%
営業利益2,797億円4,553億円+62.8%4,790億円+5.2%
当期純利益1,600億円3,320億円+107.5%3,410億円+2.7%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力のプリンティング事業が一部地域で苦戦する一方、イメージング(カメラ)やメディカル事業が成長を牽引する多角化の成果が鮮明となりました。

プリンティング ユニットは、売上高 2兆4,944億円 (前期比 1.1%減 )、営業利益 2,736億円 (同 10.0%減 )となりました。米国での関税影響による投資先送りや、中国・欧州市場の縮小によりレーザープリンターの販売が減少したことが響きました。一方で、中低価格帯のインクジェットプリンターや大容量タンクモデルは堅調な推移を見せました。

メディカル ユニットは、売上高 5,806億円 (前期比 2.1%増 )、税引前利益 341億円 となりました。日本国内では病院経営の悪化により市場が縮小したものの、米国での販売チャネル強化や新興国向けの販売増が寄与しました。前期ののれん減損を除いた実質的な収益性は着実に改善しています。

イメージング ユニットは、売上高 1兆549億円 (前期比 12.5%増 )、営業利益 1,768億円 (同 14.5%増 )と好調でした。動画クリエーター向けのミラーレスカメラ「EOS R50 V」や、新製品「EOS R6 Mark III」が若年層や買い替え需要を捉えました。また、ネットワークカメラもセキュリティ需要を背景に高成長を継続しています。

インダストリアル ユニットは、売上高 3,611億円 (前期比 2.7%増 )を確保しました。スマホやPC向けのメモリ需要回復は遅れているものの、AI向けの先端後工程露光装置が好調に推移しました。FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置もITパネル向けの大型投資を取り込み、増収に寄与しました。

セグメント売上高前期比営業利益前期比
プリンティング2兆4,944億円△1.1%2,736億円△10.0%
メディカル5,806億円+2.1%341億円(黒字化)
イメージング1兆549億円+12.5%1,768億円+14.3%
インダストリアル3,611億円+2.7%648億円△7.9%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
プリンティング2.5兆円54%2,736億円11.0%
メディカル5,806億円13%328億円5.6%
イメージング1.1兆円23%1,729億円16.4%
インダストリアル3,611億円8%625億円17.3%

財務状況と資本政策

総資産は前期末から3,688億円増加し 6兆1,350億円 となりました。円安に伴う外貨建資産の増加や、手元現金の積み増しが主な要因です。株主資本比率は前期末の58.6%から 56.9% へ低下したものの、依然として強固な財務体質を維持しています。

株主還元については、積極的な姿勢を強調しています。当期の年間配当は前期比5円増の 160円 としました。さらに、2026年1月より上限 2,000億円 の大規模な自社株買い(取得期間:1年間)を実施することを決定しました。また、グループ戦略として上場子会社である キヤノン電子の完全子会社化 に向けた公開買付け(TOB)の成立も発表しており、グループ全体の資本効率向上と意思決定の迅速化を推し進めています。

通期見通し

2026年12月期も3期連続の過去最高売上更新を見込みます。為替レートは1ドル150円、1ユーロ175円を前提としています。新中期経営計画「Phase VII」の初年度として、売上高 4兆7,650億円 、営業利益 4,790億円 を目指します。

次期はAI関連投資の継続的な恩恵や、ミラーレスカメラの新製品効果が期待されます。また、2027年3月期からは従来の米国会計基準から国際財務報告基準(IFRS)へ移行することを発表しており、グローバルな資本市場との対話力をさらに高める方針です。

リスクと課題

会社側は、今後の事業成長における主な不透明要因として以下の点を挙げています。

  • 地政学的リスクと関税: 米国の追加関税や貿易政策の変化が、北米市場の設備投資マインドに与える影響。
  • 中国・欧州の景気低迷: 不動産投資の停滞が続く中国市場や、物価高に伴う欧州の消費意欲減退リスク。
  • デバイス需要の回復遅れ: スマホやPC向けメモリ需要の回復の遅れが、半導体製造装置の販売に与える影響。
  • 為替変動: 急激な円高・ドル安が進行した場合の業績への下方圧力。
AIアナリストの視点

キヤノンの決算は、長年の課題であった「オフィス向け複合機への依存」からの脱却が、イメージングとメディカルの両翼によって証明された形となりました。

  • 収益構造の変化: かつての利益柱だったプリンティングが減益となる中で、カメラ(イメージング)が営業利益率16.8%を叩き出し、高収益セグメントとして完全に復活した点は驚異的です。
  • 成長投資の加速: インダストリアルセグメントでは、AI向けの先端装置への注力が明確。ニコンなどの競合と比較しても、半導体後工程という成長領域を確実に捉えています。
  • ガバナンスと還元: キヤノン電子の完全子会社化や2,000億円もの自社株買いは、親子上場の解消や資本効率への市場の要請に応えるもので、投資家からの評価も高まりやすい内容と言えるでしょう。2027年からのIFRS適用も、グローバル企業としてのスタンダードに合わせた前向きな経営判断です。