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GMOインターネットグループ
2025年12月期 通期

GMOインターネットグループ・2025年12月期、営業利益19.5%増の591億円——インフラ事業が牽引、IFRS移行で成長加速

GMOインターネットグループ
9449
IFRS移行
増収増益
インターネットインフラ
配当増額
自社株買い
暗号資産
持株会社体制
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

2,853億円

+3.3%

営業利益

591億円

+19.5%

純利益

167億円

+12.8%

営業利益率

20.7%

GMOインターネットグループが発表した2025年12月期の連結決算は、売上収益が前年比3.3%増2,852億6,100万円、営業利益が同19.5%増591億3,200万円と増収増益を達成しました。屋台骨であるインターネットインフラ事業が堅調に推移したほか、金融や暗号資産事業も収益に貢献し、今期より導入した国際財務報告基準(IFRS)のもとで高い収益性を維持しています。年間配当は前期比10.2円増の52.00円とし、機動的な株主還元姿勢を鮮明にしています。

業績のポイント

当連結会計年度は、グループの主要事業である「インターネットインフラ事業」が過去最高の業績を更新し、全体を力強く牽引しました。売上収益は2,852億6,100万円(前年比+3.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は167億4,900万円(前年比+12.8%)を記録しています。

増益の背景には、ドメインやホスティングといったストック型ビジネスの安定成長に加え、持株会社体制への移行によるグループ経営の効率化があります。IFRSの適用により、のれんの非償却などが利益を押し上げる要因となった側面もありますが、実質的な事業成長が営業利益率20.7%(前期は17.9%)という高い水準に繋がりました。

また、期末にかけてプライム・ストラテジー株式会社を連結子会社化するなど、AI・ロボティクス革命を見据えた積極的な投資も実行しています。不透明な外部環境下でも、生活インフラとしてのインターネット需要を確実に取り込むことで、増収増益のトレンドを維持しました。

セグメント別動向

主力の「インターネットインフラ事業」は、売上収益1,757億800万円、セグメント利益417億円と、グループ利益の約7割を稼ぎ出す圧倒的な稼ぎ頭となっています。ドメイン登録数やクラウド・レンタルサーバーの契約数が着実に積み上がり、景気動向に左右されにくい安定した収益基盤を構築しています。

「インターネット金融事業」は、FX取引高や株式委託売買代金が市場環境の影響を受けつつも、セグメント利益132億2,900万円を確保しました。一方、暗号資産事業は市場のボラティリティを追い風にセグメント利益23億9,600万円と貢献しましたが、インキュベーション事業については、投資有価証券の評価変動等により4億1,900万円の損失(前期は26億9,200万円の利益)となりました。

セグメント名売上収益(百万円)セグメント利益(百万円)利益増減(前年比)
インフラ175,70841,700+21.4%
広告・メディア35,0092,795△25.5%
金融39,41013,229+153.9%
暗号資産8,3152,396△37.7%
インキュベーション116△419
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
インターネットインフラ事業1,757億円62%417億円23.7%
インターネット金融事業394億円14%132億円33.6%
インターネット広告・メディア事業350億円12%28億円8.0%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比で1,429億8,300万円増加し、2兆365億5,900万円となりました。証券業関連資産の増加などが主な要因ですが、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は5.5%と、前期の4.9%から改善を見せています。

資本政策においては、配当性向33%以上という目標に基づき、年間配当を52.00円と決定しました。また、決算と同時に発表された27億4,000万円を上限とする自社株買い(110万株)の実施など、総還元性向を意識した株主還元策を強化しています。これは、資本効率の向上と株主への利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付けているためです。

リスクと課題

同社は将来の成長に向けたリスクと課題として、以下の点を挙げています。特に金融・暗号資産・インキュベーションの3事業については、市場環境の影響をダイレクトに受けるため、業績予測が困難であるとしています。

  • 市場環境の変動リスク: FXや暗号資産の取引高は、市場のボラティリティや規制動向に大きく左右される。
  • サイバーセキュリティ: インフラ及び金融サービスを運営する上で、情報漏洩やシステム障害は極めて重大なリスクとなる。
  • AI・ロボティクスへの対応: 急速な技術革新の中、AIロボティクス商事の設立などを通じた新領域での収益化が急務となっている。
  • 業績予想の非開示: 経済情勢の不透明感を理由に、2026年12月期の通期予想を非開示としており、投資判断には月次の営業指標を注視する必要がある。
AIアナリストの視点

GMOインターネットグループの今回の決算で特筆すべきは、IFRSへの完全移行と、それに伴う「利益の質」の変化です。のれんの償却が停止した影響はありますが、それを差し引いても営業利益率が20%を超えたことは、ストック型のインフラ事業が成熟期に入り、高い収益性を生み出すフェーズに達したことを示しています。

懸念点としては、インキュベーション事業が赤字転落したことや、暗号資産・金融セグメントの利益が市場環境に依存しすぎている点です。通期予想を「非開示」としているのは同社の通例ではありますが、投資家にとっては月次の指標を追う負担が大きく、ボラティリティへの耐性が問われる局面と言えるでしょう。

一方で、自社株買いと増配を組み合わせた還元姿勢は、投資家から高く評価されるポイントです。就活生にとっては、AIやロボティクスといった次世代領域への投資を加速させている点が、将来のキャリア形成における魅力となりそうです。