電線・ケーブル大手3社・2026年3月期Q3——「AI特需」でフジクラが驚異の独走、業界の勢力図が激変
今期の総括
AI特需を掴んだ企業から「高収益構造」へ脱皮
生成AIの普及により、電線業界は今や「AIインフラ産業」へと進化しました。フジクラが営業利益率16.6%という驚異的な数字を叩き出す一方、巨人の住友電工も過去最高水準の利益を記録。各社が不採算事業を切り離し、データセンター向け製品へ資源を集中させる歴史的な転換期を迎えています。
業界全体の動き:AIが変えた「電線の価値」
この四半期、業界を動かした共通テーマは以下の4点です。
- 生成AIブームの恩恵: データセンター向けの光通信製品が爆発的に売れました。
- 事業構造の選別: 不採算部門を売り、成長分野へ資金を移す動きが加速しています。
- 自動車向け復調: 苦戦していたワイヤーハーネスの採算が世界的に改善しました。
- 円安の追い風: 海外比率が高い各社にとって、為替が利益を底上げしました。
売上高 前年同期比
全社増収ですが、フジクラの20.2%という数字はAIインフラ需要を独占的に取り込んでいる証拠です。
純利益 前年同期比
全社が50%超の増益。古河電工の117%増は事業売却による一過性の要素が強く、内容の精査が必要です。
勝者と敗者:利益率16.6%を叩き出した「AI銘柄」の正体
今期の「圧倒的な勝者」はフジクラです。売上高は前年比+20.2%の8,549億円と急成長。特筆すべきは営業利益率で、業界平均の9.2%を大きく上回る16.6%に達しました。高単価なデータセンター向け製品に特化したことが功を奏しています。
一方で、古河電工は苦戦が見えます。純利益こそ資産売却で117%増と跳ねましたが、本業の儲けを示す営業利益率は3.7%に留まりました。住友電工(7.4%)やフジクラ(16.6%)と比較すると、収益力の強化が急務となっています。
勝者
フジクラ
苦戦
古河電気工業
売上高ランキング
住友電工が3兆円超えで圧倒的な規模を誇る一方、フジクラが20%超の増収率で猛追する構図が鮮明です。
営業利益ランキング
規模の住友電工に対し、効率のフジクラが肉薄。古河電工は利益額で大きく引き離される結果となりました。
営業利益率ランキング
フジクラの16.6%は製造業として驚異的。データセンター向け高付加価値製品が利益の質を変えています。
注目の動き:なりふり構わぬ「選択と集中」
各社、生き残りをかけた大胆な戦略が目立ちます。
- 住友電工: 生成AI向けの光デバイスを「第二の柱」に据え、利益構造を刷新しました。
- 古河電工: 「古河電池」の売却という断腸の思いで構造改革を断行しています。
- フジクラ: 配当を100円から215円へ倍増。株主還元で投資家を強力に引き付けます。
業界共通のリスク:光り輝く市場の裏側
好調な業界ですが、以下の懸念点には注意が必要です。
- AI投資の一服感:データセンター需要がどこまで続くか不透明です。
- 銅価格の乱高下:原材料費の変動が利益を圧迫するリスクがあります。
- 特定事業への依存:フジクラのように利益の8割を1部門で稼ぐ危うさもあります。
就活生・転職希望者へ:もはや「古い素材メーカー」ではない
今の電線業界は、最先端のテック企業に近い環境です。特にフジクラや住友電工は、AIインフラの心臓部を支えるプライドを持って働けるでしょう。安定志向の「電線」から、変化の激しい「ITインフラ」へ。自身のキャリアをどう重ねるかが問われています。
